マンション管理士の独り言・・・1078

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「いいマンションの見分け方・・・構造・施工精度編」

良いマンションというより「将来トラブルのなりそうな種が少しでも少ないマンションの見分け方」或いは「将来トラブルになる種が内包されたマンションの見分け方」とも言い換えることが出来ます。

構造や施工精度については、建築確認申請である一定レベルは確保されているはずですが、同じ構造・設備・仕上げであっても、現場監理や施工の良し悪しで仕上がりは天と地との違いがあります。仕上がりに大きく関係してくるのが養生期間です。
養生期間をキチンと確保しているかどうかで建物の良し悪しが大きく異なってきます。
例えば、コンクリート打設を終え、次に塗装という工程に入る際に、使用する塗装材料によって養生期間が決まっています。塗装メーカーが養生期間をしっかりと定めています。
塗装は塗膜というように数層の膜で構成されています。コンクリート面に塗装剤を“塗る”というより“貼り付ける”というイメージです。
通常はコンクリート面についたゴミ・ほこり・油分などをきれいに落とす洗浄作業を行い、続いて下地塗、中塗り、最後に仕上げ塗と3回の工程を踏みます。
コンクリートは水分を含んでいますので、下地塗の際はコンクリートの含水率が基準値以下になるまで養生期間を置き、基準値以下になって初めて下地塗を行います。
プラモデルを作成する際にボンドを塗る面をきれいにし、水分なんて拭き上げるのと同様です。
そして下地塗から決められた養生期間を経て中塗り、更に養生期間を経て仕上げ塗となります。

これらキチンと定められた養生期間が確保されていないと、内覧会時や2年点検時くらいまでは塗膜は貼り付いてくれていますが、その後だんだんと剥離が始まります。
売主さんとすれば、瑕疵期間やアフターサービス期間の2年間は経過しているので、“剥離原因は経年劣化によるもの”と穴の中に逃げ込んじゃいます。
年度末までに“何としても売り上げ計上したい”つまり“引き渡ししたい”と考える売主さんはゼネコンさんに早く仕上げるようにハッパを掛けます。施主の意向も無視できず仕方ないから養生期間を短縮して、工事を仕上げることとなります。
適正な養生期間が確保されているかどうかを出来上がった状態で判断するのはほとんど不可能です。

“塗膜が剥離したって、品確法があるから10年間は瑕疵保証してくれる”なんてノー天気なことを考えてる人がいますが、外壁そのものは瑕疵保証の対象ですがその上の加工部分、つまりタイル貼りや塗膜に関しては瑕疵保証の対象ではありません。

構造や施工精度に関して、適正な養生期間がキチンと確保されているかどうかが肝です。
これを見分ける方法は、施工期間に頼るしかありません。パンフレットなどで確認申請年月日を確認し、それから竣工日までがザックリと施工期間です。
この期間が十分にあるのかないのかを確認しましょう。
通常は1フロアー1か月、+5か月が最低の工期です。つまり10階建てならば10か月+5か月で15か月です。このほか、機械式駐車場があったり特別な設備や外構があればさらに工期が必要なのは言うまでもありません。
また竣工から内覧会~引き渡しまでの間が異常に短く設定されている場合も要注意です。

次回もう少し、良いマンションの見分け方 → 「将来トラブルになる種が内包されたマンションの見分け方」についてつぶやくつもりです。