マンション管理士の独り言・・・1137

マンション管理士の独り言・・・1137

 

「バチ被るのは、最後は購入者」

 

つぶやき主は内覧会同行サービスを行っています。8月にはサンパークシティ守恒に同行し、10月には第一交通さんの黒崎ランドマークにも同行します。

専有部分の施工精度を検査し、不具合あれば指摘し補修していただきます。

あくまでも専有部分のみの検査です。本当は外壁タイルや屋上防水などの共用部分の施工精度を確認したいのです。

内覧会の折に何度か売主さんに頼んでもみましたが、認められたことはありません。

マンション購入者は屋上に関しても共有者の一人なので見せてくれてもいいじゃん、って思うのですが、実現したことはありません。

 

屋上防水に限らず、マンション購入者は共用部分の共有者の一人になるわけですが、その施工精度がどうなのか?しっかりした工事になっているのか?などを確認するすべがありません。

これら共用部分の竣工検査は管理会社が実施しますが、売主の関連会社である管理会社が行う検査などお手盛り以外の何物でもありません。

建築途中に関しては設計監理が工事の進捗状況や設計仕様通りに施工しているのかを確認することになります。

この設計監理をおこなう1級建築士さんは売主さんに雇われています。

一般の住宅で設計監理を依頼する場合は、施主(依頼者)がそのまま出来上がった建物に住まいます。従って設計監理者は依頼主と住まう方が同一なので、少しでも住みやすい建物になるように苦心します。

これに対し分譲マンションの場合は、依頼主は売主となりますが、住まうのはそれを購入した人になります。

あくまでも依頼主(=発注者)は売主ですので、売主の注文通りの設計を行い、工事監理を行います。

依頼主は商売としてマンション建築を行っていますので、少しでも安く建てて高く売ろうとします。その手助けをしなければなりません。

具体的には容積率一杯いっぱいの建物を設計し、見栄えがするようなエントランスを設え、“売り”になるような共用部分を組み込んで、それらが出来るだけ安くなるように設計します。また、依頼主の都合に合わせた竣工時期は死守しなければなりません。

3月末が依頼主の年度末ならば、何としても3月末には引き渡し出来るように現場に指示します。

 

施工を行う建設会社の現場代理人も、何よりも竣工時期を死守しなければなりませんから、ある工程の出来が悪いからと言って、工事手戻りなどあり得ません。また、図面を引くのと現場写真の撮影、それに定例会議で忙殺され、とても現場管理にまでは目が行き届きません。

 

このような工程の結果、出来上がった建物がいいはずがありません。売主の都合で引き渡し時期(竣工時期)が決められ、利益を上げるために工費を安く抑えられたマンションが出来上がります。そしてそれはマンション購入者に引き渡され、売主の手を離れます。

“あとは管理組合さんお願いね。しっかり管理してね”となります。

 

竣工後15年くらいで実施される大規模修繕工事時に、これらのキチンとした施工になっていないものについてバチを被るのは管理組合(=マンション購入者)です。

通常タイル張替枚数が全体の5%程度なものが施工が悪いため20%になったとしてその増加分は管理組合が負担しなければなりません。

管理組合が、施工を急がせたり、或いは品質を落としていいよ、って指示したのならば自業自得ですが、売主の過度の利益追求のために必要な工期が確保できていなかったり、品質を落とされた結果、不具合が多くなり、それだけ余分に補修費用が発生したものについて最終的には管理組合が費用負担することになります。

 

マンション購入者は共用部分の工事工程や施工精度を全く確認することが出来ない。しかし維持管理を行わなくてはならず、不具合が多いときは余分にかかった補修費用も負担しなければなりません。これって、可笑しくね~。管理組合に何の責任があるの???