マンション管理士の独り言・・・965

マンション管理士の独り言・・・965

「将来トラブルに発展するマンション・・・2」

今回はトラブルなりやすさ指数Bランクのお話です。
つぶやき主が話すことは、10年に及ぶマンション販売センター長、2年のマンション管理会社フロントマン、10年以上のマンション管理士というマンション販売や管理の現場での経験をもとにつぶやいていますので、机上の空論じゃありませんよ。
マンション入居後は必ず顕在化するトラブルですよ。

Bランク最初は、下階からの音についてのクレームです。
特に小学生くらいまでのお子さんがいるご家庭は注意必要です。
分譲マンションだからと言って上からの音が聞こえないなんてありません。
市内マンションでは遮音等級LL45,LH50くらいが一般的です。というより最近分譲の全てのマンションがこの遮音等級で建築されているといっても過言ではないくらいです。
LLというのは、ラウドネスライトつまり軽量衝撃音、床にビー玉落とした時に発せられるような軽い音です。
LHはラウドネスヘヴィ重量衝撃音、お子さんがベッドの上から床へ飛び降りたときに発せられるような重い音です。数値は少ない方が遮音性能は優れています。

軽量衝撃音は、床材のテクスチャーによって変わります。同じコンクリートの厚みでも畳⇒カーペット⇒フロアー材の順で遮音性能が劣ってきます。畳ならば聞こえない音がフロアー材ではよく聞こえるってことです。
重量衝撃音は、単純に床コンクリートの厚みに比例します。厚ければ厚いほど、音は聞こえにくくなります。ただし、梁の長さによっても変わってくるので注意が必要です。
LL45、LH50の遮音性能は、上の階のスリッパの音は聞こえないがサンダルの音は聞こえますよ、って程度です。要するに聞こえます。
マンション購入者は、“この遮音性能で良いですよ、サンダルの音は聞こえてもクレームつけませんよ”ってことで購入しているのです。

マンション購入時に、営業マンに床の遮音性能はいくつですか?と聞きましょう。
そこで「LL45,LH50」という返答が来れば、もし将来階下の住民と上の住戸からの音がうるさいとトラブルとなった際に、騒音測定をします。
騒音測定器は、区役所のコミュニティ支援課へ行けば無料で貸してくれます。
測定の結果、「LL45・LH50」以上の騒音を頻繫に発生させているようでしたら、上階の方は床にアクセントラグを敷くなどして注意して生活しなければなりません。
「LL45・LH50」を頻繁に超えることなければ階下の方が気にしすぎです。“受任すべき音です。我慢しなさい。”となります。
スリッパ程度の音しか発生させていないのに、「LL45・LH50」が確保されていないのならば、分譲時の遮音性能が確保されていない、と売主に責任追及できます。
上下階の騒音トラブルがそこに住まわれている人の間の問題として矮小化されてはいけません。当初「LL45・LH50」と看板出して売り出したマンションで、その遮音性能が確保できていないのならばマンション売主さんの責任です。

最近は、床の遮音性能について全く触れていないマンションが多くなってきました。
使用細則には「将来専有部分をリフォームする際は、分譲当初に使用していた床材と同等以上の遮音性能を有するものを使用すること」と記載されていますが、分譲当初の遮音性能についての記載はどこにも見当たりません。

これから永いこと住むことになるお部屋の遮音性能がどの程度あるのかくらいチャンと調べなきゃ、です。
また、気の利いた売主さんや施工ゼネコンさんならば、環境調査を行います。
マンション竣工後、引き渡しまでの間で実際に住戸で騒音を発生させて、階下への遮音性能が当初の設計通り確保されているかどうかを確認する調査です。
マンション購入者は、環境調査を実施するのかしないのかを営業マンに確認しましょう。
実施するというのであれば、その調査結果を報告してもらわなければなりません。

本当ならば全てのマンションで環境調査を行うべきです。
でも気の利いた売主さん、ゼネコンさんしか実施していないのが寂しい限りです。