マンション管理士の独り言・・・981

マンション管理士の独り言・・・981

「騒音トラブル」

いろんな管理組合さんの理事会に参加していますが、そこで組合員からの苦情が報告されます。
その中でダントツに多いのが、上階からの騒音トラブルです。
「上階からの子供が飛び跳ねるようなドスン、ドスンという音が深夜まで聞こえてくる。管理組合で何とかならないか」という内容です。
コインを落とした時に発生するような軽量衝撃(LL=ラウドネスライト)ではなく、ドスン、ドスンという文字通り重量衝撃音(LH=ラウドネスヘヴィ)です。
そして、掲示物などで注意を促そうということになります。

市内マンションのほとんどは、階下への遮音性能について、LL45、LH50という基準で造られています。
遮音性能を示す際の数字は小さいほど聞こえにくい、つまり優れた遮音性能となります。
ですから軽量衝撃音(LL)はそんなに気にならなくても、重量衝撃音(LH)の方は気になるという、となっちゃいます。
もっとも、竣工後に遮音性能を測定して(環境調査という)“パンフレット通りLL45LH50の遮音性能が確保されています”とキチンとしている売主さんはほとんど見かけないのが残念です。
環境調査をしなくて、本当にパンフレット通りの遮音性能が確保できてんの?です。

階下への遮音性能を上げるには、床コンクリートスラブの厚みを大きくするのが効果的です。床スラブの厚みを増せば増すほど階下への遮音性能は向上します。
しかしコストがアップする、柱型や梁が大きくなる、工期が長くなるなどの理由で市内マンションでは在来スラブの場合、20センチ。
厚みを確保して軽量化するボイドスラブ(中空スラブ)では25センチというのが標準的な厚みです。
そしてそのスラブの上に直にフロアー材を貼るのでなくて(直貼り工法)、床を自立させる(2重床、置床)工法となっています。
また、物を通じて音が伝わる(個体伝播音)のを防ぐために、壁と床とをくっつけないシステム床としています。

しかし、これでは不十分です。不十分というのが現場に携わるものとしての印象です。
理事会で騒音についての苦情が寄せられるほか、つぶやき主にも直接電話がかかってきます。かつてつぶやき主が内覧会に同行差し上げた方からの問い合わせです。最近は特に多くなった感があります。
具体的には、A社の物件が多いです。
LL45、LH50という遮音性能では低すぎます。それぞれもう5ずつ下げなければ、管理組合さんは今後も騒音トラブルに悩まされることでしょう。
スラブの厚みを増す、或いは床フロアー材の下のパーティクルボードの、更にその下に遮音ボードを張り1枚増やす。などのスペックアップが必要です。
当然コストは上がるでしょうが、アップ分は価格に反映させます。

ハッキリ言って今の仕様では、階下への遮音性能に関しては、安かろう悪かろうデス。

購入された方は、“分譲マンションなんだから上からの音は聞こえないだろう”なんて甘い夢は持たないことです。
必ず聞こえます。敏感かどうかに関係なくイライラするほど聞こえます。
また上階の方は、下に音を響かせていて、間違いなく迷惑を掛けているってことを認識し、出来るだけ音を出さないようにしましょう。

もっと住み心地のいいマンション造ってよ。