マンション管理士の独り言・・・982

マンション管理士の独り言・・・982

「もう1回。騒音トラブル」

前回階下への騒音トラブルについてつぶやきましたが、トラブルになる元凶は、何より設定した騒音基準が低すぎることです。
現行のLL45,LH50設定では低すぎます。
転居前に余程劣悪なアパートにでも住んでいたのであれば別ですが、“折角マンション買ったのに上階の音がやかましくてストレス溜まっちゃう”となります。
一部の耳の敏感な人だけの話ではありません。ほとんど全ての人が“やかましい”と感じます。最低でもLL40、LH45にしなきゃダメです。

市内マンションは全国で唯一分譲駐車場という悪しき販売方法をとっています。
それも複数の売主が。“他社もするからうちもするべ”という感じなのでしょうが、要するに低いレベルで横一線の状態が続いています。
そして残念ながら構造についても同様です。
判で押したように在来スラブならば20㎝、ボイドスラブならば25㎝もしくは27,5㎝です。
唯一の例外は、東宝住宅さんの高級マンション「ザハウス」シリーズで、こちらはリビングの床スラブ厚32,5㎝(ボイドスラブ)となっています。

福岡市ではそうではありません。まだまだ在来スラブ20㎝、ボイドスラブ25㎝程度が多いのですが、在来スラブ23㎝、ボイドスラブ30㎝というところが結構な数出てきています。パンフレットにはっきりとLL40、LH45の設定としていると謳っているところもあります。
スラブの厚みを増せばその分販売価格は上がるのは避けられませんが、それでも長年住まうという観点からは、厚みを増すべきです。
スラブ厚をそのままにして、パーティクルボードの下にもう1枚鉛入りの遮音ボードを敷くという方法だってあります。
「うちのマンションは、他社の比べて少し高いかも知れませんが、その分遮音性能が他社より10%程度優れています。住んでしまった後に遮音性能を上げるというのはほとんど不可能です。初めから騒音トラブルにならないように遮音性能を高めています」という販売手法で購入者の理解は得られると思うのですが。
「こんなマンション買うんじゃなかった」と言われるより随分と良いと思うのですが・・・。

ただでさえ低い遮音性能なのに、更に床暖房というのが騒音トラブルに拍車を掛けます。
同じスラブ厚であっても床の仕上げによって階下への遮音性能は大きく異なってきます。
一番音が響かないのが畳、その次がカーペット、一番響くのがフロアー材です。
一番遮音性能が低いフロアー材であっても、その上にアクセントラグでも敷けば階下への音はかなり防げます。
しかし床暖房仕様となっていればその上にラグなんて敷くわけありません。
床暖房というのは暖房効率からすれば優等生なのでしょうが、階下への遮音対策を考えるにあたっての厄介なハードルです。

話は違いますが、市内マンションで床暖房仕様が始まってもうかれこれ10年近く経ちますが、床材に変化はないのでしょうか?
床下から暖めているので床フロアー材には決していい環境ではありません。
表面塗装が剥がれたり、隙間が出てくるのではと心配しています。

これから内覧会の時期です。“新築マンションに入居して快適なマンションライフを送るべ”とワクワク感で一杯の方にはネガティブな話ばっかりで恐縮ですが、あまり過度な期待はせずに、内覧会時に“遮音性能は本当にLL45,LH50は確保できているのか?”の確認だけは行うことをお勧めします。