マンション管理士の独り言・・・1027

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「セーフ、アウト 委任状」

総会開催の2週間前に総会議案書が配布されます。議案書にはセットで委任状がついています。
“総会当日所用で総会に出席できない方は、代理人の名前を記して委任状を提出してください”というものです。
委任状に加えて、議決権行使書が添付されている場合もあります。
“当日総会に参加できない、代理人もいないし、理事長に一任するのもどうかと思う”なんて人はこの議決権行使書を利用すれば自分の意思を表することが出来ます。
議決権行使書については、それを採用している管理組合さんもあれば採用していない組合さんもあります。
“ただでさえ総会参加者が少ないのに、議決権行使書なんて添付すればますます参加者が少なくなる”というのが理由ですが、なるほどね、です。
委任状と議決権行使書の2通を出す人がいます。委任状と議決権行使書では、当然ですが議決権行使書が優先されます。議決権行使書のほうが、その人の意思が色濃く反映されているからです。

委任状について代理人の名前があればいいのですが、ない場合の対応が分かれます。
「代理人の名前がない場合は、賛成とみなします。」これはアウト。いつの間にか賛成票に組み入れられています。
「代理人の名前がない場合は、議長一任とします。」これについては規約に“議長は総会参加者の中から選出する”とあれば、アウトです。誰が議長になるのかわからない状態で委任なんて出来っこありません。
規約に“議長は理事長が勤める”ってあれば代理人は特定されていますが、理事長は議案提出者であり、“この議案は皆さんのために良いことだから承認してね“って立場です。
つまり理事長一任は賛成票と同義語となります。
ギリギリセーフとしている組合さんが多いようですが、つぶやき主は、上記全てを「棄権」とみなします。
“何とか参加者とみなし、何としてもこの議案を通すんだ”という熱意はわからないでもないですが、ちょっとやりすぎです。

「出席票も委任状も出さない方は、議長(=理事長)一任とみなします。」という委任状を使っている管理会社があります。
何としてもその議案を承認させるんだ、って強い意気込みでしょうが、これは完全にアウトです。
どこの管理組合にでも20%程度は、出席票も委任状も提出しない組合員さんがいます。
これは棄権扱いとしなきゃ、です。
何も出さなければ、いつの間にか賛成票に組み込まれてしまいます。
つぶやき主は完全にアウトだと確信していましたが、念を入れてマンション問題に詳しい著名な弁護士、更にはマンション管理センターにも聞いてみました。
異口同音に「そんなの無効です」弁護士さんからは、「まだそんなアクドイ委任状使ってる管理会社あるの?どこ?」って聞かれたほどです。

こんな委任状使っていると、他の組合員から“こんな委任状使って賛成票増やして承認された議案は無効だ”って訴訟を起こされちゃいますよ。
将来組合員間で訴訟などのトラブルに発展するような委任状を使っている管理会社は完全にアウトです。