マンション管理士の独り言・・・106

「議決権」と「管理費」

管理費と議決権について、ご相談をいただいています。
住戸の面積差が2倍以上あるマンションで、それに伴い管理費も、大きな住戸の区分所有者は小さな住戸の区分所有者と比べて2倍以上負担しています。
それなのに、議決権はどちらも1票という具合です。
負担だけ2倍なのに、権利がともなっていないとも見えます。
これについては、議決権は管理費負担とは直接結びつかず、専有面積が2倍ならば管理費負担とは関係なく議決権は2票というのが、多数意見です。

したがって、取得した専有部分の面積が100㎡の区分所有者は、50㎡を取得した区分所有者の2倍の議決権があるとされます。
しかし、実際には多くのマンションでは、面積にかかわらず1住戸1議決権と分譲当初の管理規約で規定しています。
さらに、管理費負担についてはこれも分譲当初の管理規約で、㎡単価を面積に乗じるとしています。㎡単価100円ならば、50㎡の住戸では5,000円、100㎡住戸は10,000円となり、このことが問題をより複雑化させます。
区分建物所有法では、議決権は原則的には専有面積比率によることとされていますが、これでは、極めて複雑で桁数の大きな数字になります。
総会の折には、電卓片手に、○○○○○○○分の○○○○ + ○○○○○○○分の○○○○ +・・・なんてことになります。
そこで、同法では、ただし規約で別の定めとしてもいいですよ、とされています。
これを受けて標準管理規約では、面積差があまり異ならない場合は一住戸1票とすることも可能としています。
面積差があまり異ならない場合とはどの程度の差異を示すかについては、2倍以内にすべきというのが多数説です。
つまり面積差が2倍以内ならば議決権はどちらも1票ずつは許されるが、面積差が2倍を超えているのに1票ずつは、無効とされる可能性があると考えられています。
それでは、少しでも公平性を保つために管理費を面積差にかかわらず、全住戸同一としようという考えもあります。事実そのように全住戸同一としている管理組合もあります。
しかし、これについても面積差が2倍あるのに同額の管理費では無効とされるという意見も存在します。
悩ましい問題です。
責任転嫁するわけではありませんが、やはり分譲主が当初作成・提示する管理規約原案が公平性を保っているものとなっていないと後々問題が生じてしまうようです。