マンション管理士の独り言・・・1248

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「瑕疵担保責任→契約不適合責任とアフターサービス」

2020年4月に改正された民法により、それまでの瑕疵担保責任が「契約不適合責任」と名称変更されました。

そもそも”瑕疵”とは、「そのものが本来備えていなければならない性能を発揮できない不具合や欠陥。住んでから気付く見えない部分の不具合」を指します。

マンション住戸の場合は一般的には、雨漏り、シロアリ被害、給排水管の故障が該当すると言われています。

また瑕疵は大きく3つに分類され、1つ目が”物理的瑕疵”で、雨漏りなどが該当します。

続いて”心理的瑕疵”と言われ、中古住宅の売買でよくトラブルになりますが、自殺があったことを隠して契約したなどが挙げられます。

最後は”法的瑕疵”で建築基準法などの法令違反を指します。3番目は論外です。瑕疵と言うより違法建築です。

マンションなどの不動産売買に関して民法では売主に対する責任として、”買主が善意(引き渡し時に瑕疵があることを知らなかった)の時は、瑕疵を発見して1年以内””悪意(引き渡し時に瑕疵があることを知っていた)の時は、引き渡し後1年間”を瑕疵担保責任期間と定めています。

しかし不具合を知ってから1年ならば、”住んで10年目に気が付いた。そこから1年”となるケースも考えられ、それは売主不動産屋さんにちょっと酷でしょう、となり、宅建業法で引き渡し後2年と期間が設定されています。

これによりほとんどすべてのマンションの売買契約では、引き渡し後2年と言う文言になっています。

不動産売買で売主が不動産業者の場合で、民法の規定をそのまま記載している契約書なんて見たことありません。

まだ先があります。マンションには何十年も住み続けるのに瑕疵担保期間が引き渡し後2年と言うのも短すぎるだろうってことで、住宅の品質確保に関する法律(略称:品確法)で「建物の主要構造部位」や「雨水の侵入を妨げる部位」に関しての瑕疵については竣工後10年と手厚くされました。竣工後10年です。引き渡し後10年ではありません。

例えば、“雨漏りが発見された。10年以内だから品確法の対象だろう”と思っても雨漏り箇所は住居内に限定されていますので、マンションの共用廊下やバルコニーでの雨漏りは対象とならない。更に、外壁に貼っているタイルや塗装も対象にならない、など抜け道タップリの“ざる”みたいな感じもあります。

では瑕疵担保責任の内容はどうなっているかというと、買主に認められている権利は、契約解除請求と損害賠償請求です。契約解除+損害賠償請求もアリです。

マンション住戸に瑕疵があった場合になくてはならない、「補修」と言うのがスッポリと抜け落ちています。これも現実的ではないということで品確法ではこの点を補い補修の請求もできると改善されています。

更にアフターサービスと言うのがあります。民法での瑕疵は、引き渡し時に瑕疵があることが前提です。その瑕疵を引き渡し後に発見した場合に適用されるとなっています。

これに対しアフターサービスは引き渡し後、住居に一定の不具合が生じたときに無償補修を行うという契約上の合意であり、民法の瑕疵担保責任の様な法定責任ではありません。

瑕疵の有無にかかわらず買主さんとの契約上の責任として売主が補修を行おうというものです。

”契約不履行責任、住宅の品質確保に関する法律、さらにアフターサービスもあるから心配ない”ってならないのが残念です。