マンション管理士の独り言・・・1249

マンション管理士の独り言・・・1249

「マンション業界の構造的問題点」

仰々しい表題ですが、マンション売主さんと設計会社さん、施工するゼネコンさん、そして購入者さんとの関係についてのイヤ~な感じの違和感です。

最近施工不良のマンションの話をアチコチで耳にします。

ゼネコンさんがしっかりした施工をしていない、設計会社は施工中の監理をキチンとやっていたのか、などの声をお聞きします。

しかしよ~く考えてみると、ゼネコンさんは施工会社としてしっかりやっていたのかもしれませんし、設計会社だってキチンと監理していたのかもしれません。

ゼネコンさんのお客様(=発注者、=施主)は売主不動産屋さんです。

ゼネコンさんとすれば売主不動産屋さんがお施主様なので、売主さんの意向や要望に従って工事を進めなければなりません。

”工期を〇〇日までに竣工するように”って言われればそうしなくてはなりません。

”もう少し工期があれば施工精度の高い建物になるのにな~っ”て思ってもそうは出来ません。

お施主様の言うことは絶対です。

そして売主さんの要望は竣工時期厳守とともに、そのマンションを売って得られる利益高です。つまり”儲け”です。「安く仕入れて高く売る」って商売の原則です。

そのマンション購入者は、施工会社からみれば施主ではありません。

施主は売主不動産屋さんです。

お施主様である売主不動産屋さんの要望に従ったからこのような仕様・工事精度になった。そのマンションを買った人から見れば今一つかもしれないけど、お施主様である不動産屋さんの要求には沿うことが出来た。です。

同じことが設計監理会社にも言えます。

発注者である売主不動産屋さんの意向に従い、容積率目いっぱいの建物を設計し、極力原価を抑える設備仕様を選定します。

工期だってお施主様の意向が第一なので何としても指定された工期に間に合わせなければなりません。

ちょっと乱暴な言い方ですが、工事精度よりも竣工時期厳守、原価率厳守です。

出来上がった建物に不具合があり入居した購入者から「いい加減な工事をした」「キチンとした工事監理がなってなかった」と言われたとしても、対お施主様との関係では、ゼネコンさんも設計会社さんもお施主様のご意向に従っただけで、お施主様は満足されている、って言うかもしれません。

ゼネコンさんや設計監理会社さんは、発注者(=お施主様である売主不動産屋さん)のために全力を尽くすってことです。「請負者は発注者のために行動する」のは当然と言えば当然の姿勢です。

しかし、品格・矜持の問題です。最終的なエンドユーザーである入居者・購入者のために少しでも品質の良い建物を提供するという姿勢は、ゼネコンさん、設計監理会社さん自身のやりがいにも通じるはずです。良い仕事をしましょう。