マンション管理士の独り言・・・101

「不在区分所有者への2,500円管理費アップは有効、判決」NO2

自身はマンションに住まず、その住戸を他人に貸している「不在区分所有者」に管理費とは別途「住民活動協力金」の名目で月額2500円の負担を求めた訴訟で最高裁は裁判官5人全員一致で有効とする判断を下しました。これは、以前の独り言でつぶやいたものです。
この判決について、いろんな弁護士さんのそれこそいろいろな意見が出されています。
賛成意見や反対意見、今後危惧されることなどをまとめてみました。

賛成意見
①この管理組合では、2500円アップについて管理規約の変更で臨んでおり、4分の3以上の賛成を得ている。これをひっくり返されては、住民多数の意見が無視されることにつながる。
②役員の成り手が不足する中、役員をしている区分所有者としていない区分所有者の不公平感の解消として有効である
③「著しく不合理・不利益の場合は無効となる」との判例もあり、すなわち著しく不合理でなければ有効と解される。多少の不合理があっても、法律上の根拠がないものであってもみんなで決めたことには従いなさいよ、という判断であり妥当。そうでなければ、何を決めるにも管理組合はいちいち裁判所の意見を聞かなければならなくなってしまう。
④住んでいる区分所有者の努力によって不在区分所有者は管理の利益を得ているのだから、これを実質的な公平にしなければならないということで、不在区分所有者から協力金を徴収するのは仕方ないと考える。

反対意見や今後危惧される事
①今回のケースでは役員に報酬を支払っているのにさらに協力金をもとめており、賃貸へだすことのペナルティを課す印象を受ける。住んでいる区分所有者の中にも役員をやらない人もいるのに、不公平で、そもそも賃貸に出すのは、その区分所有者の自由である。
②そもそも住んでいる区分所有者でないと役員に就任できないという規約が妥当なのかについて疑問がある。また、理事ながら1度も理事会に出席しない理事などとの整合性が取れていない。
③協力金を支払う代わりに役員に就任しないという区分所有者が出てくるのではないか
④管理会社が、財政の厳しい管理組合に「不在区分所有者から協力金を取ればいい」などのアドバイスをすることも考えられる。
⑤協力金であつめたお金の使途の合理性が必要

いろいろな意見が出ることはいいことですけど、・・つくづく、難しいっすね!