マンション管理士の独り言・・・1088

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「駐車場区画の決まり方」

駐車場のどの区画を購入者のうちの誰が利用するのかは、分譲主(=売主)が決めます。
最近の「管理に関する承認書」では、“売主が決めた駐車場区画の利用者を管理組合は異議なく引き継ぐ”としています。
では、どのように駐車場区画の利用者を決めているかというと、一番公平なのが引き渡し説明会時などに抽選で決めるという方法ですが、少しでも早く完売したいために住戸の購入予約をした順に決めるってことも良く行われています。
“今なら、いい区画を選べますよ”っていうトークです。
また、最上階の特別高価な住戸に紐付きで屋内駐車区画を用意している、ってことも行われています。
あまり感心できませんが、そういう条件でそのマンションを売りに出している以上、有効になっちゃいます。

抽選であっても、先着順であっても一旦は決めてしまわないといけません。
通常はいったん決まった区画をその後も利用し続けるというのが一般的です。
住戸の売買時や賃貸時に、区画の移動希望を受け付ける管理組合さんもあります。
これは管理規約によって異なります。
しかし、分譲時に決まった区画(売主が決めた区画)がその後もずっ~とその区画のままなのかというと、そうでもありません。
管理組合さんによっては、区画を1年ごとにシャッフルしたりしていますし、以前お世話していた南区マンションではオリンピックの年毎(つまり4年に1度)シャッフルしていました。

“シャッフルすると車庫証明などの手続きをその都度行わなくてはならないから面倒では?”という当然の疑問も湧いてきます。
警察署の見解(正確には南区警察署)では、“同じ敷地内での区画移動だから、変更前と変更後の一覧表を持ってきてもらえば、1台ずつの車庫移動届は必要ありません“ってことでした。実際にそのように対応してもらいました。

売主さんが当初決めた区画にそれほど差がない場合はトラブルに成りませんが、屋根付き、平面、機械式、軽専用があったりするとトラブルに発展しかねません。
北九州では1住戸に1区画と駐車場率100%が当たり前ですが、東京ではそうもいきません。
東京の100戸に対し駐車場区画数80台のマンションでは1年毎に20台ずつトコロテン方式で利用者を入れ替えていました。
それが面倒だし、いつかは敷地内駐車区画が利用できなくなると考えた組合員が、「現在利用している組合員が未来永劫利用できる」っていうように規約変更行いました。
現在敷地内区画を利用している組合員は、規約改正に求められる4分の3を超えていますので、この規約改正が承認されてしまいました。
これに対し現在区画を利用していない組合員が「規約改正の無効」を求めて提訴しました。裁判所は、「現在区画を利用している組合員の権利の濫用だ。規約改正は無効だ」と判事しました。

あまりに差がある区画利用者から、“分譲当初に抽選して今の区画になったが、駐車料金は一緒なのに他の区画と比べ広さや出入戸のし易さに差がありすぎる。分譲当初の区画決定の抽選は未来永劫なのか?変えてほしい”というご要望です。
厄介な問題です。