マンション管理士の独り言・・・1308

マンション管理士の独り言・・・1308

「町内会・労働組合・管理組合」

町内会や労働組合は加入について任意なのに何故マンション管理組合には絶対加入しなければならないのですか?という質問がありました。

分かっていそうで、正確には分かっていないかもしれません。以下に回答を、

先ず、町内会や法人格のない管理組合・労働組合は「権利能力なき社団」であることは一緒です。管理組合で相続登記は出来ず、また銀行との取引も出来ません。

実務上は〇〇マンション管理組合 理事長△△△△という個人名での取引になります。

しかし同じ組合と言う名称があるものの、これら3つは全く異なります。

町内会は、加入については原則任意で、地域とのコミュニティ形成や防犯防災に資する活動を行うことを目的とする団体です。

以前は役所の下請け的な存在でしたが、現在では地域の要望発信拠点のような役割になってきています。

町内会への加入率は全国平均で71,8%となっています。北九州ではもう少し低く68%くらいです。

労働組合は、管理職になる前の労働者が自分たちの給与の引き上げや待遇改善を経営者に要求する団体です。

一人の労働者と一人の経営者では、どうしても雇われている労働者の方が弱い立場にあるので、労働者でスクラム組んで経営者と対峙しようというものです。

その会社の労働組合がユニオンシップ制度を採用していたら、その企業には原則一つの労働組合しか存在せず、労働者は全員その組合へ加入しなければなりません。

しかし、日本航空などは複数の労働組合が存在し、会社側(経営者)はそれぞれの組合と交渉を行わなくてはならず、面倒です。御巣鷹山の墜落事故の遠因とも言われました。

旧国鉄では動労や国労の対立も見られました。

現在の労働組合への加入率は16,9%です。凋落に歯止めがかかりません。

これらに対しマンション管理組合は加入率100%です。

法律(区分所有法)でマンション購入者は管理組合の組合員となることが義務付けられています。

マンション区分所有者でありながらそのマンションの組合員でないことはあり得ません。

何故法律で組合員になることが義務付けられているかと言うと、マンション区分所有者は共用部分の共有者になるからです。

マンションを購入するとその住戸(専有部分)の区分所有権を取得するのと同時に廊下階段などの共用部分の共有持ち分も取得することに成ります。

したがってそのマンションを購入した人達(区分所有者)全員と共有関係になり、共有物の維持管路を皆で行わなくてはなりません。その主体として管理組合が設立されるのです。

マンション購入後8か月目くらいに管理組合設立総会というのが開かれますが、正式には管理組合は引き渡し直後に成立しています。

管理組合設立総会というのは、購入者が初めて顔を合わせるセレモニーみたいなものです。

マンション購入者は、共用部分を購入した住戸の専有面積に応じて共有持ち分を取得するという「共有関係」になり、それらの部分の維持管理するために管理組合が設立され、共有者の一人として必ず組合員にならなければならない、ってことです。