マンション管理士の独り言・・・146

「バラの嘘つき」

毎日のように「マンション口コミ」サイトを見ています。
購入編の北九州市と管理組合版とにアクセスしています。
皆さん詳しくて、感心しています。
たまにつぶやき主の意見が流用されていたりして、思わずニコッです。

こんな書き込みがありました。
“このマンションは売れ行き好調で、バラの花がたくさん付いていた”。です。

販売センターの中に掲示している販売状況パネルに売却済みを示すバラの花がたくさん刺さっていたことを指しているのでしょう。
しかし、バラは要注意です。うかつに信用しちゃいけません、バラにはトゲがありますよ。

このバラは必ずしもその時点での成約状況を示すものではありません。
そもそも、契約までのどの段階でバラを指すのかなんて統一基準があるわけではありません。
各社が独自の基準でバラを刺します。
しかし、ほとんど全ての販売センターでは、申し込み段階でバラを指すことにしているようです。
申し込み客であっても、ローン事前審査で否認となる事もあります。
そうなれば、申し込みキャンセルでバラを外さなきゃなりませんが、実際にはいろんなことを考慮してタイミングをみて外すことになります。
キャンセル住戸のバラを外すと、他の住戸を検討中の顧客が、“こっちの住戸が空いたのなら移りたい”等で、せっかく契約までもう1歩だったのに、また資金計画からやり直さなくちゃならなくなってしまいます。
すでに契約していた客が“そっちに移りたい”なんて事も考えられます。

また、販売不振のマンションでは申し込みには至らない顧客に「保留」とか、或いは「検討」などのランクを作り、バラを指す事もあります。
バラはそのマンションの売れ行きを示すものとして考えられているので、ポツポツとしかバラが刺さっていないマンションは、「売れ行き不振マンション」のレッテルを貼られます。反対にバラが沢山刺さっているマンションは「売れ行き好調」とみなされていますから、“早く決断しないとお好みの住戸は売れちゃいますよ”みたいなトークも可能になります。
その他バラの活用法としては、Bタイプが売れ行き不振だったら、バラを沢山刺す事により、“人気間取りですよ”を演出したりも出来ちゃいます。
週初めの営業会議で、“今週はCタイプを重点的に販売しよう”とすると、Cタイプが人気住戸であるようにバラを刺し変えます。
Cタイプに沢山バラを刺して売れ行き好調を醸し出し、“人気のCタイプはもう残りわずか”とします。
極端な例では、Aホット客が本日来場となれば、その見込み客が検討している住戸が人気タイプという演出をしなければなりません。検討住戸タイプには、多くのバラを刺します。さらに、その検討住戸の上の階と下の階には必ずバラを刺して、空いているのは真ん中の住戸だけとしています。
“早く結論を出さないと売れてしまいますよ”、とバラが赤く目に訴えてきます。
その他、残住戸が本当にあとわずかになれば、・・・・・・・

最近はバラにもトントご無沙汰です。トゲに刺さりたい。