マンション管理士の独り言・・・145

「残戸数は誰にもわからない」

毎週土曜日には、いろんな分譲マンションのチラシが入っています。
小さく書かれた物件概要のなかに、総戸数と、今回販売戸数というのがあります。
総戸数はいいとして、今回販売戸数というのが、本来ならば残戸数のはずです。
ところが記載された残戸数と実際の残戸数にはかなりの違いがあります。
今回販売戸数として記された戸数より1,5倍くらい実際の残戸数は多くなります。
カラクリ①
同じチラシを何週にもわたり折り込みますから、例えば最初に折り込むチラシの残戸数を20戸と設定すれば、

何週間か後に折り込むチラシは残戸数を15戸くらいに設定して、最初の折り込みから5戸販売できたように、チラシ作製時から設定しておきます。
さらに、次のチラシ作製時の残戸数は15戸を下回らなけりゃなりません。
このようにして実際の残戸数とはかなりの乖離が生じます。
カラクリ②
特に販売代理の場合には、実際の残戸数は誰もわからないという不思議な現象が生じます。キャンセル住戸も発生しますし、営業マンも希望的観測で成約予定を発表したりします。この結果、販売センター長も薄々は“見通しが甘い”と思いつつも、売主からは常日頃より「少しでも早く、1棟でも多く」を厳命されていることもあり、売主への報告は少しサバを読んだ戸数となってしまいます。
某有名ハウスメーカー(マンションもやってる)では、何カ月もボウズの営業マンが“カラ契約”を計上し、しかも契約金まで自分で用意して会社へ入金していました。
ですが、たび重なる着工要請に根を上げて、退職してしまいました。
そして、退職後、カラ契約を計上した時に自分が支払った契約金を返せ!と会社を訴えました。あまりにバカバカしい話なので、訴訟がどうなったかまでは調べていませんが、カラ契約を計上することは結構ひんぱんにあっています。
販売代理会社の営業マン ~ 販売センター長 ~ 売主担当者 ~ 売主上司 ~ 本社担当者 ~ 社長へと続く報告経路で、それぞれの思惑が詰まった残戸数が報告されていきます。その結果、実数とは大きく異なる販売戸数となります。

そして、「残戸数は誰にもわからない」となります。

今思い出しても毎週月曜の販売会議は辛いものでした。大の男なのに泣き出すやつがいたり、1度なんて神経性大腸炎で会議の途中でぶっ倒れた人もいました。血尿が辛いという同僚もいました。
明日は月曜日、営業マンにとっては辛い1日です。  “ぐぁんばれ~営業マン”