マンション管理士の独り言・・・234

「内装リフォーム工事」

マンションで自己所有の住戸部分をリフォームする時には、理事長へ届け出なければならないって、知っていました?
“柱や梁や外壁を傷つけない部分のリフォームだから届け出なくて良い”なんて、思っていませんか?
通常の管理規約には、自己所有部分(=専有部分と言う)のリフォーム工事を行おうと思うときは、理事長へ届け出て、届けを受理した理事長は理事会を開催し、その工事を行っていいかどうかを判断する事になっています。
判断に迷うときは、専門家へ調査依頼をすることができる、となっています。
さらに、所定の様式「専有部分のリフォーム工事承認申請書」まで用意している管理組合だってたくさんあります。

“うちのマンションの管理規約は、そのようになっていない”、と言う人には、「そんな古臭くて現在の生活実態とかけ離れた管理規約は早々に改正しなさい」、と言ってあげます。
“改正する時は、エースマンションに依頼してねって”いう言葉を付けるのも忘れません。

この様に規定されているのに、区分所有者は届け出ることを知らない、理事長も届けを提出させることをしらない、更には工事をするリフォーム業者も知らない、でつまり誰も知らずに、誰も届け出ずに工事が完成してしまった、という例は沢山あるようです。
リフォーム業者も知らないっていうのは、呆れた話ですが、結構あります。

また、その工事が畳をフロアー材に張り替える工事だったりすると大変な事になります。下の階への遮音効果は、畳に比べてフロアー材はかなり劣りますので、リフォーム工事が終わったとたんに階下の方は、騒音に悩まされることになります。
そして、上下階のトラブルへと発展し、更には、“誰がこのようなリフォーム工事を承認したんだ”となって当時の理事長が階下の方から訴えられたりします。
冗談の様ですが、このような訴訟は頻発しています。

つぶやき主が雇われ理事長やっていたマンションでも、去年1年間で3件のリフォーム工事がありましたが、当初はどれも工事承認の申請書は提出されませんでした。
それをこちらから声をかけてやっと提出がありました。
うち1件は畳をフロアー材へ変更するという工事でしたが、当初予定されていた仕上げでは遮音性が確保できていなかったので、注文者には多少の費用負担は発生するものの、根太周りにグラスウールを敷詰める等にスペックアップしてもらいました。

弁護士の話では、マンションの訴訟は以前は売主×管理組合が多かったのですが、最近は区分所有者×区分所有者、区分所有者×管理組合、現理事長×前理事長なんていうのが多いそうです。
ジャンケンで負けたから、或いは順番がついに廻ってきたから仕方なく理事長になったという人であっても、理事長としての責任を果たしていないと後で、大やけどをしますよ。