マンション管理士の独り言・・・284

「共用部分なのか、専有部分なのか???」

小倉北区のマンション管理組合理事長さんからのご相談です。「上階の排水管から漏水があり、下階の天井や床フロアーに損害が発生しました。この排水管は共用部分なのか、それとも専有部分でしょうか?」というお問い合わせです。
売主へ問い合わせても“よく分からない”と言われたので、つぶやき主が代表の北九州マンション管理支援機構へ問い合わせて来ました。

通常の場合は、排水管は床コンクリートと床材の間に設備され、床コンクリートの上にありますから専有部分となりますが、このマンションでは、排水管は、床コンクリートと下階の天井材との間に設備されているのです。
この排水管が共用部分ならば管理組合の責任と負担で損害を受けた箇所の補修などを行わなくてはなりませんが、専有部分なら上階の方の責任という事になります。

このマンションの管理規約には、“給排水設備、その他専有部分に属さないものは共用部分”とされており、さらに過去の判例を調べました。
同じような事例で、平成3年の判決があり、「共用部分とみられる床下と階下の天井との間にあり、雑排水を機械的にスムーズに流す事にのみ意味があるに過ぎない。少なくとも維持管理の面からはマンション全体への附属物である。」と判断されています。

これらにより、この排水管は共用部分とお答えしました。
共用部分と決まった以上、今後は管理組合の責任と負担において階下の損害部分についての補修作業等を行わなくてはなりません。
あいにく、この管理組合では共用部分の損害保険に加入していないようなので、修繕積立金を取り崩して費用に充てなければなりません。
総会の決議が必要です。
臨時総会を開催し、承認を得るまでのお手伝いを行うこととなりました。

今では、このような位置に排水管を設備する事はありませんが、古いマンションでは結構あるようです。
また、排水管ではないのですが、新築マンションでも、オートロック子機や火災警報器などについて、それを共用部分としているところや、専有部分としているところなど、その取り扱いは千差万別です。
「共用部分なのか、それとも専有部分なのか?」について判断出来ないときは、専門家へお問い合わせしましょう。
北九州マンション管理支援機構と言わずに、専門家と言うところが奥ゆかしいでしょう。