マンション管理士の独り言・・・531

「お金持ちの方へのお願い」

先日土地公示価格が発表されました。
“土地価格の下げ止まり感が出てきて一部地域では値上がりするところも出てきた”と新聞に載っていました。
価格を押し上げている要因の一つにマンションの売れ行き好調さがあるようです。
加えて、金融機関ではお金がだぶつき気味になり、融資に対してのハードルが低くなっている傾向にあるとの事です。
そうすれば当然有利な投資先を探すお金持ちが増え、特に不動産投資に注目が集まっているようです。
新聞でも不動産投資セミナーなんかの記事をチラホラ見る機会が増えました。
そこでそんなお金持ちの方へのお願いです。

分譲マンションの1室や複数の部屋を投資目的に購入しないでください。
3LDKや4LDKの実需マンションの中のワンルームや1LDK住戸を投資目的で購入されると管理組合は大変迷惑します。
買った人は、月々のローンの支払いよりも家賃収入が多く、いわゆる利回り10%以上なんていうのでしょうが、ご自分は良くても管理組合は大迷惑ですし、管理組合活動に支障もきたします。
マンションを購入するというのは、①専有部分の区分所有権を購入する  ②共有部分、敷地の共有持ち分を購入するということです。
そして、共有部分、敷地の管理を行うのがそのマンションを購入した全員で構成された管理組合です。
マンションを購入すれば法律的当然に管理組合員となります。
管理組合員になれば、総会で議決権を行使できるなどの権利も取得するのですが、反対に管理費や修繕積立金の負担や役員に就任するなどの義務も生じます。
ワンルームなどを投資のために購入した方であっても組合員になりその権利も取得すれば義務も負担しなければなりません。

この義務の方を忘れちゃってます。
投資目的のワンルーム購入者は、理事会などの役員さんに就任することはまずありません。遠方に住んでいるから役員さんに就任するなんて無理ですし、総会にだって出席しません。それどころか購入した住戸に借り手がなければやがて管理費修繕積立金の滞納だって始まっちゃいます。
滞納が多くなって、何とか管理組合を正常化しようとしても、投資目的購入者はどこに住んでいるのかさえわからず、郵便物も届かない、総会を開催しようとしても議案書さえ送れないで、その結果総会が開催できない、なんていうマンションの何と多いことか・・・。

また投資目的組合員が沢山いる管理組合では、大規模修繕工事などで一時金が発生するとなると大紛糾します。
空室になってたりすると、「家賃は入って来ないのに、毎月管理費・修繕積立金は支払わされて、おまけにローンの支払いも残ってる。この上一時金何て出せるか!」なんて具合です。
日頃の管理組合活動には全く参加しないのに、お金を出すとか、お金を徴収するとなったら喧しく権利を主張します。

住戸を人に貸して自分はそこに住んでいないという方を不在区分所有者といいます。
この方は役員にならないので組合員の義務を果たしていない、それなのに、管理組合活動がしっかりなされているから所有の住戸の賃料を高く設定できるなどの恩恵を一方的に受けている。
“これってフェアじゃないよね”と考えた管理組合が不在区分所有者を狙い撃ちにして管理費を2500円アップにしたことが有効かどうか、と争われた事件で最高裁は有効という判断を下しています。

つぶやき主の周りには類は友を呼ぶのか、お金持ちなんていません。
だからお金持ちの考えてることなんて分かりませんが、分譲マンションを投資目的に購入するのは止めてください。
管理組合が大迷惑です。

マンションを購入するというのは『管理組合員としての義務や負担も生じる』という事を理解しなきゃですよ。