マンション管理士の独り言・・・593

「管理組合の借り入れ」

大規模修繕工事に際して資金が不足する場合、方法は4つあります。
1つは延期しちゃう方法。“お金が貯まるまで待っていよう”ですが、雨漏りしていたりするとそうもいきません。
続いては、“貯まっている分だけで出来る工事をしよう”です。これを選ぶ管理組合さんが1番多いと思います。
3つ目は、“一時金を徴収しよう”ってやつですが、特に管理費などの滞納者がいたりすると、“皆からお金を徴収する前に滞納分を回収する方が先でしょ”ってなります。
そして4つ目が借り入れをする方法です。
大規模修繕工事と言うのは、積立金の貯蓄範囲内で実施するのでなく、足りなければ借りてでも実施すべき、と言うのが正解なのですが、なかなか“借り入れしてまでは”って組合さんが多いのが現実です。

大規模修繕工事に際しては足場を組みます。
この費用がバカになりませんので、足場がないと出来ない工事はこの際に実施するべきで、後回しにしたりすると却って高くつくことが多いようです。

つぶやき主お勧めは、上記4つではなくて、しっかりした長期修繕計画のもと、毎月キチンと積立金を貯めていって大規模修繕工事の際には、やらなければならない修繕は全て実施する、というものですが、“そんなのわかってる!それが出来てないから困ってんじゃん”と言われそうです。

それならば、借入を起こすことをお勧めしちゃいます。
管理組合でも借入は起こせちゃいます。

1番の王道は管理組合を法人化して、銀行から借り入れる方法です。
法人化するには、特別決議が必要とされますので、かなり高いハードルとなります。
管理組合と言うのは、法律的には「権利能力なき社団」とされ、簡単な例で言うと「好きなもの同志が集まって出来た草野球チーム」みたいなものです。
草野球チームが新しくユニフォームを作ろうとしても銀行は○○野球チームには貸してくれません。
どうしても借入れしたいなら、キャプテンとか監督さんが個人名で借り入れし、場合によれば副キャプテンが連帯保証人として名を連ねるって方法しかありません。

同様にマンション管理組合も法人化しなければその時の理事長さんが主たる債務者、理事さん達が連帯保証人って方法をとっていました。
でも“何で大規模修繕工事のために自分の名前で借り入れ起こさなきゃいけないの?”って当たり前の返答が返ってきて最近では理事長個人名で借り入れ起こすって管理組合さんはトンと見かけません。

そこでお勧めが、「イオンプロダクツ」「三菱電機クレジット」です。
不動産関連の方には信じられないかもしれませんが、保証人や保証協会加入不要、担保不要、理事長の印鑑証明や連帯保証も不要です。
事前審査が一応ありますが、管理費などの滞納が全体の5%以下ならば基本的には融資可能となります。
何でこんなに借り入れに際してのハードルが低いのかっていうと「トリッパグレ」がないからです。
マンションには修繕積立金制度があって、毎月キチンと入金=返済がなされるからです。担当者に聞きましたが、“焦げ付きなんて全くありません”とのことです。
借り入れを起こすためには総会の承認が必要で、議案書や議事録には必ず記載しなければならないことがあったりしますが、硬直的に考えずに、大規模修繕工事に際して費用が足りない時は、足りる分だけで工事を済ますのでなく、借入って方法も視野に入れたらどうですか?ってつぶやきでした。