マンション管理士の独り言・・・614

「バルコニーでの喫煙」

前回に続いてバルコニーについてつぶやきます。
最近はバルコニーで隣人が干している洗濯物の柔軟剤の臭いがたまらないから何とかしてほしい、なんて要望がありますが、流石にこれには対応できません。
まさか、「柔軟剤を使っての洗濯物干し禁止!」何て掲示できませんから、理事会でそんなご意見がありましたよって報告する程度で終わらせちゃいます。

ではバルコニーでの喫煙はどうか?っていうとちょうど1年前に名古屋地裁でこの問題に正面から取り組んだ裁判がありました。
最近はバルコニーでの喫煙禁止を使用細則に盛り込んだり、総会で決議する管理組合さんも増えていますが、この裁判マンションではバルコニーでの喫煙は禁止されていません。つぶやき主も知らなかったのですが、(知らない事ばかりですが・・・)喫煙者が吸い込む主流煙よりそばにいる人が吸い込む副流煙の方がニコチン2,8倍。タール3,4倍と有害物質を多く含んでいるそうな。(日本昔話風)
ですから喫煙者は他人に迷惑にならないように喫煙するというのが一般常識になっています。

裁判マンションでは下階の居住者のバルコニーでの喫煙で上階の居住者がストレスを感じたり帯状疱疹を発病するなどの健康被害が生じたことについて上階居住者の損害賠償請求を認めました。

判決の要旨は、
「マンションの専有部分や専用使用部分であっても他の居住者に与える不利益の程度によっては制限されるべき場合があり、他の居住者に著しい不利益を与えていることを知りながら喫煙を継続し、何らの防止策を取らないときは不法行為となる。
このことはマンションが細則などでバルコニー喫煙を禁止していない場合であっても同様である。
このマンションは眺めがよく、多くの住民が窓を開けて景色を楽しんでいる。
原告が窓を開けているから煙が入る、閉めていないという落ち度があるとは言うことは出来ない。
また、下階のバルコニーでの喫煙の煙が直上階の部屋へ入ることは十分考えられ、喫煙量は平日で1時間に1本程度で、日曜祭日などはこれを大きく上回ると考えられる。
さらに原告が自分は喘息でタバコの煙で強いストレスを感じているからバルコニーでの喫煙を止めてほしいと何度もお願いし、また管理組合も掲示や回覧文を回している。
このような状況でも被告は、原告に全く配慮せず喫煙を継続する行為は不法行為となる」
というものです。

これで上階の人は下階のバルコニー喫煙者に対して溜飲を下げたってならないのがマンションです。
エレベーターで顔あわせて、“こんにちは、この間はどうも”ってことはないだろうし、上から少しでも物音すると下階の人が怒鳴り込んでくるって連鎖が始まるような気がします。
下階の人、上階の人、或いはそのどちらもがマンションを出ていくことになるのでは、って危惧します。
また、この問題に取り組んだ理事会役員さんも自分の調整能力に落胆したりするかもしれません。
日頃からの気配りが大切です。

つぶやき主はタバコはもうとっくの昔に止めました。だって高くて買えないもん。