マンション管理士の独り言・・・721

「エレベーターメンテナンス」

別に区分所有者が「○○のエレベーターにしてほしい」って要望したわけじゃないのに、購入したマンションには、どっかのエレベーターが据え付けられています。
エレベーターには年に1度の法定点検が義務つけられていますので、管理組合はメンテナンス会社とのお付き合いが始まります。
そのメンテナンス会社も区分所有者が「△△エレベーターメンテナンスにしてほしい」って要望したわけじゃないのに、新築時から決まっちゃっています。

多くの場合は、エレベーターメーカー系のメンテナンス会社です。
更に市内では合人社さん以外の管理会社さんはフルメンテナンス契約としています。
合人社さんはPOG契約が多いようです。
フルメンテナンスっていうのは文字通りフルのメンテナンスで部品交換などの費用も含まれていますよ、っていう契約です。
POGというのは、パーツ・オイル・グリースの交換は費用に含まれているがそれ以外の部品交換が必要なときは別途費用が発生するって契約です。
当然ながらPOGの方がメンテナンス費用は安く済みます。
市内マンションでフルメンテナンスの場合、月額60,000円前後、POGならば、40,000円前後っていうのが相場です。

この他にメーカー系でない独立系のメンテナンス会社にメンテを依頼している管理組合さんもあります。
新築時から独立系のメンテ会社さんへ依頼しているのはつぶやき主が知っている限り1つの管理組合さんだけです。

独立系メンテ会社さんにはどんなところがあるかというと、エス・イー・シーエレベーター、西部エレベーター、西日本エレベーターなどです。
独立系メンテ会社さんは、メーカー系メンテ会社さんよりかなりお安くなります。
フルメンテでもPOGでも、メーカー系の約6~7割ってとこでしょうか。

以前はエレベーターが故障した時に、メーカーはメーカー系列のメンテ会社にしか部品供給を行わないってこともあったようで、公正取引委員会から独占禁止法違反って摘発されたこともありました。
現在はそんなにあからさまな悪意ある行為はやらないみたいですが、「自社系列のメンテ会社でメンテを行っている管理組合さんと独立系メンテ会社さんが行っている組合さんで同時に故障して部品供給が必要になったら、そりゃ、自社系メンテ会社さんの要請を優先しますよ」ってお答えです。事実、独立系メンテ会社で部品供給がなく1か月も停止したまま、っていうマンションもあります。
独立系メンテ会社もイザというときのために、部品をストックしていますが、なかなか追いつかないようです。

新築時には、メーカー系メンテ会社とメンテ契約をするようになっている管理組合さんがほとんど全てですが、管理費の削減を行おうとして独立系メンテ会社に乗り換える組合さんも増えてきています。
確かに1基あたり月額2万円くらいのコスト削減につながりますが、前述のように故障した時の部品がスムーズに手に入らずに、1か月近くも停止したままってこともあり得ますので、十分検討した方が良さそうです。

最大で1か月も停止しちゃうので、住民からの「月額2万円くらい高くても安心だし、停止期間も短くて済むからやはりメーカー系メンテ会社へ戻そう」って話になったりします。
こんな時は、メーカー系メンテ会社さんは、「うちに戻ってきてくれて有難う。感謝感激!」なんて対応じゃありません。
「独立系メンテ会社さんが緊急信号などのプログラムをいじっているので、それを復旧して当社がメンテできる状態に戻さなけりゃなりません。そのため1基600万円くらいかかります」って言われちゃいます。

「そんな法外な!」は通用しません。「それならうちはお請けできません」って話です。

次回もう少しつぶやきましょう。