マンション管理士の独り言・・・740

「マンションを購入するという事、その3」

前回まではマンションを購入することに伴って得られる財産の取得についてつぶやきました。
今回からは、得られる権利や守らなくてはならない義務についてつぶやきます。

④「管理費・修繕積立金の負担義務を負う」
マンションを購入すれば、毎月管理費や修繕積立金を支払わなければならない、っていう事は誰でも知っています。
管理費と言うのは日常の管理に要する費用のことで、管理会社への管理委託料、管理人さん・清掃員さんの人件費、廊下階段の電気代・交換費用、エレベーターや機械式駐車場のメンテナンス費用、受水槽の清掃点検費用などに使われます。
毎月一定額が集められますが、それに相応する額が支出されます。
賃貸マンションでいうところの共益費みたいなものです。

修繕積立金は、12~15年のサイクルで実施される大規模修繕工事のために毎月積み立てられるものです。
修繕積立金は管理費とは別に通帳を作って管理されます。
この取り崩しには総会の決議が必要ですので管理費とは異なり、支出されることはほとんどなく、毎年着実に積み立てられていきます。
またマンション購入時に、修繕積立基金も支払われますが、これも修繕積立金へ組み入れられ将来の大規模修繕工事に備えらます。

第1回目の大規模修繕工事では、足場を組み養生ネットを掛け、外壁タイル補修や屋上防水補修、窓周りのシーリング打ち替え、鉄部塗装などを行い、1戸当たり100万円くらいの支出となります。
2回目になると上記補修工事の他、給排水管の延命工事、エレベーターリニューアル工事などが新たに発生しますので1回目以上の費用が必要になってきます。
分譲時に3000円~4000円程度の修繕積立金が多いようですが、これでは不足です。5年後には2倍、10年後には3倍くらいに値上げされると考えておかなければなりません。

この管理費・修繕積立金は相続人(包括承継人)買受人(特定承継人)に引き継がれますので、住戸所有者が亡くなった時はその住戸に住んでいなくても相続人に管理費などの負担義務が生じます。
同様に中古で購入した住戸に管理費などの滞納があった時は、買主(特定承継人)が滞納分を返済することになります。

反対に大規模修繕工事が実施される前に住戸を売った方は、それまで積み立てた積立金の返金請求を出来ないこととなっています。
子供が小学校を卒業したからと言ってそれまで支払ったPTA会費の精算を求められないのと一緒です。

直近のデータでは、管理費などの滞納問題を抱えているマンションが全国で30%を超えています。
基本的に管理費などの滞納分はチャラにできません。
共有物の処分行為と考えられ区分所有者全員の賛成が必要になってきます。
この世の中で“全員賛成”何てありませんから、なんとしても回収しなければならないものです。5年を過ぎると消滅時効にかかっちゃいますので、それまでに回収が必要です。
しかし、払えない人は何と言われたって払えませんので、規約を改正し特別決議などでチャラとし、会計処理するマンションも増えてきています。

むやみやたらとチャラにしちゃうとキチンと支払っている区分所有者が馬鹿を見るってことになり兼ねませんので、注意が必要です。