マンション管理士の独り言・・・826

「常識が通用しない」

具体的な固有名詞は全て伏せます。
○○マンション管理組合から共用部2年点検のご依頼がありました。
多くの組合員の方から、「建築には詳しくないけど築後2年にしては劣化がひどいのでは?」と声が寄せられ、そこで、信頼置ける第3者に検査してもらおうという事でつぶやき主に白羽の矢が立ちました。もちろん総会での承認済です。

ヘルメットを被り、首から双眼鏡をぶら下げ、右手にはパールハンマー、クラックスケール、左手ではビデオカメラを回しながら検査しました。
検査報告書を管理組合さんに提出し、売主さんや施工会社さんからの補修計画案の提出を待ちます。
出てきた補修計画案に驚きました。
「これは工事の不手際です。すぐに補修します。申し訳ありませんでした。」という回答が出てくるものとばかり思っていた項目でさえ、「現状で使用上・安全上差し支えありません。この状態でご利用ください。」です。
お口アングリです。開いた口が塞がらないとはこの事です。

例えば、4枚建具のフルオープンサッシュの網戸が建具4枚を全て開口しなければ使えません。真ん中の2枚建具を開けている状態だと、サッシュノブに網戸が引っ掛かり開けられないのです。これについては当然“みっともない工事をしました。すぐ手直しします”という回答が来ると思っていたのに、「使用上・安全上支障ないからこのまま使って。手直ししません」です。

また、排煙窓を閉める際の脱着式のハンドルが、収納の天板に当たり、スムーズに回転できない状態です。
ハンドルが天板に当たり1回転させることが出来ませんので、1回ずつハンドルを脱着しなければならないのです。
これを見たときは笑っちゃいましたが、これについても「使用上・安全上支障ないから手直ししません。このまま使って」です。
さらに排煙設備は、「消防署の検査を受けて合格しているから手直しする必要はありません」です。

意地の悪いつぶやき主は、わざわざ消防署まで出向き検査で合格しているかどうかを確認しました。
その結果は、「排煙設備は消防局の検査対象ではありません。建築関係です。」
“何だよ、消防の検査受けてないじゃん。回答書は売主と施工会社との連名になっているのに、いい加減だな~”です。

その足で市建築指導課へ行ってきました。
ここでは「確かに排煙設備は検査対象ですが、閉めるときのハンドルがスムーズに回転するかどうかは検査対象ではありませんが、常識的にスムーズに1回転できるように設置するでしょう」でした。
その常識が通用しないから、無駄なところでエネルギー使ってるっしょ。

アフターサービス担当者は、なるべく補修工事は少なくし会社に余計な費用を出させないようにする、という考えはわかりますが、程度ものです。
常識はずれの事を堂々と言うようになると、その担当者や会社の品格が疑われちゃいます。