マンション管理士の独り言・・・887

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「内覧会~確認会~残金振り込み~引き渡し」

内覧会が終了したら、ゼネコンさんは指摘された不具合箇所を職人さん総動員で手直しにかかります。
内覧会後、おおよそ2週間後に確認会が実施されます。
確認会を実施せず、「お任せください」って売主さんもあるから驚きです。それで購入者が納得するからまたビックリです。

内覧会で指摘された不具合箇所の手直しのため多くの職人さんが入室し作業しますが、そこで新たに傷つけちゃったりとかで、内覧会時にはなかった不具合箇所が確認会で発見されるってことも結構あったりします。
そうなると確認会後に再確認会~再々確認会までお付き合いしたこともあります。
また、内覧会時に指摘した箇所のテープを剥いでしまって、どこをどの様にして補修したのかがわからなくなった、って例も多いので、確認会終了時までは指摘テープは剥がさないようにしなきゃ、です。
確認会時には、内覧会指摘箇所のみならず、他の箇所ももう一度内覧されることをお勧めします。

確認会後はいよいよ引き渡しですが、その前に残金のお振込みがあります。
不動産の売買もコンビニで商品を買うのと同じで、その引き渡しと同時にお金を支払います。
難しく言えば、同時履行です。買主からすれば、商品を受け取る前にお金は支払わないし、売主であるコンビニも“お金もらわなきゃ、商品は引き渡さないよ”というのが当たり前で、売主買主双方がその義務を同時に行いましょう、という極めて当たり前の原則です。
しかし分譲マンションの場合、額も大きい、多くの場合銀行振り込み、また戸数も多い等々で、引き渡しと同時に入金されても経理的に煩雑になるという事もあり、引渡し1週間くらい前に振り込んでもらうという方法をとります。
宅建業法では、売主は物件の引き渡しまでに代金をもらってはいけない、という原則があります。
代金をもらって、引き渡し前に仮にその売主が倒産したら買主さんが困ってしまいます。
消費者保護の立場から当然の原則です。
ですから契約時(建物未完成)には、手付金は代金の5%以内、それ以上もらうときは、保証書の発行が義務付けられています。
そこで売主さんは、引き渡し前の入金に関しては入金扱いとせず、引き渡し時までの間は預かり金処理をしているはずです。
しかし、いくら預かり金処理をするからと言って、引き渡しよりもあまりに前にお振込みいただくというのも商道徳上如何なものかって気がします。

通常残代金振り込みは、確認会後に実施されます。
内覧会時に指摘した不具合箇所の手直しが完了したという事を確認会で確認したのちに残金振り込みを行います。
売主の立場からは、“キチンと引き渡し出来る”購入者からすれば、引き渡しを受けることが出来る状態となっていることが確認できた後に残金支払いというのがルールです。
確認会前での残金振り込みや、また確認会で手直しが不十分だったりした場合での残金振り込みはおススメしません。
考えてみれば当たり前のことです。キチンとした状態で商品の受け取りが出来るかどうかわからないうちにお金を支払らっちゃダメよって、昔おばあちゃんに言われたでしょ。

“引き渡し後に手直しします”なんて言いますが、職人さんは鍵を持っていませんので、工事日程の打合せ、工事中は在宅しなきゃならない、家具の移動も必要かもしれません。
引き渡し後の手直しは職人さんも購入者もとてもエネルギー使います。

3月末が決算年度の売主さんは何が何でも3月中に引き渡しと残金入金を要請してきますが、引き渡しを受けれる状態でないのに、引き渡しを受けちゃいけませんし、残金も支払っちゃだめですよ。