マンション管理士の独り言・・・344

「できる と しなければならない」

簡単な法律のお勉強です。
民法では文章の最後の〆の言葉には大きく分けて2種類あります。“
推定する”と“看做す(みなす)”です。
“推定する”というのは、「取り敢えずこのようにしておこう。でも異なる事実が現れたら、その時はまた見直す事もあり得るよ」、みたいな感じです。
これに対して、“看做す”というのは、「これで決定。あとで異なる事実が現れても覆らない。これで決定」と決めつけてしまうものです。

管理規約の規定にも言葉の使い方ひとつで取り扱いが大きく異なる場合があります。
特に“できる”と“しなければならない”です。
“できる”は、「してもしなくてもいいですよ。検討の余地はありますよ。」ですが、“しなければならない”は「しなきゃダメです。しないという選択肢はありません」です。
この“しなければならない”と規定していて実行していないので、またモメます。
理事会などで「しなければならないのに、何でやってないの?」で始まり延々議論が続きます。前向きな議論にならず、時間ばかりかかります。

また、断定的に決めつけている規定もあります。
実務上よく問題になるのが、役員数です。
規約で理事長1名、副理事長1名、役員4名、監事1名などと人数をキチッと決めつけているものを良く見かけます。
しかし実際は、その人数より大幅に少ない役員数で理事会が行われています。
こだわる方はいるもので、「管理規約で決められた役員数になっていない」と噛みつきます。人数を増やすわけにもいきませんから、延々と後ろ向きの議論の結果、規約改正となります。
このような場合、つぶやき主は理事長・副理事長は各1名ずつでいいとして、「役員数は4~7名(理事長・副理事長を含む)」と数字に幅を持たせます。

さらに、滞納管理費を請求する場合にも、“滞納者は延滞利息を負担しなければならない”、とあれば管理組合としては、延滞分を上乗せして請求しなければなりませんが、“管理組合は延滞利息を請求することができる”、であれば、その滞納者の能力を見て、延滞利息を請求しないこともできます。

どこの管理組合にも管理規約通りにキチッと行わないと気が済まない方が必ずいます。
当然と言えば当然ですが・・・。
あまりギュウギュウに縛ってしまうとマンションライフも窮屈になってしまいます。
理事会を中心とした管理組合にその時々に応じて少し裁量の余地を残した、「できる」というのをお勧めします。
「しなければならない」と規定されちゃうとやり難くって仕方ありません。

最近の理事会は長い。とにかく長い。
部屋を借りている市民センターの方から毎度毎度嫌な顔をされます。
前向きな議論ならばいいのですが、後ろ向きの議論で時間ばかりかかるのには閉口しています。
多分、今夜も帰宅は10時過ぎ・・・。