マンション管理士の独り言・・・290

「桜の木の伐採」

お世話している管理組合さんで、入居している区分所有者から“南側に植えている桜の木を伐採してほしい”という要望が寄せられました。
このマンションは築後20年ですので、桜の木も20年そこに立っていて、幹もかなりの太さに成長しています。
春にはきれいな花を咲かせます。

このご意見主は、伐採する理由として以下の点を上げています。
①南側に立っているので、日当たりが悪くなっている
②樹液で困っている
③桜の花が散ったあとの花弁の始末が大変だ
④毛虫が多く、南側バルコニーに干していた洗濯物に毛虫が落ちてきて知らずに着てしまったため、皮膚がかぶれた
などです。
特に④は想像するだけで・・・強烈です。

このマンションは横に長く101号室~110号室まで住戸が10ならびあります。
そして問題の桜の木は、101号室と102号室の南側に立っています。
つまり被害を被っているのは、101号室・102号室・201号室・202号室くらいなのです。
他の103号室~110号室や上階の方は、「春になったらきれいな桜が見れるな~」って感じでしょう。

4月に通常総会が開催されます。
理事会では、この桜の木の伐採について検討しています。
伐採だけだから普通決議(総会出席者の過半数)で承認されますが、「第1号議案 桜の木の伐採」なんて単純に臨むと、否決される可能性大です。
103号室~110号室やさらには上階の方がこぞって反対すれば、否決されちゃいます。

101号室・102号室の方の思いを汲んで、伐採の方向で進むならば、過半数を得られるように汗をかく必要がありますし、その上で工夫した議案提出としなければなりません。
理事会がどういう方向で進めるのかを確認して、それからがつぶやき主の出番です。
たかが桜の木1本の伐採ですが、なかなか前途多難です。