マンション管理士の独り言・・・170

「全国マンション問題研究会から」

10月16・17日と福岡で開催された全国マンション問題研究会から裁判例をご紹介します。
平成2年に分譲された住居部分48、店舗7の合計55戸のマンションで、このマンションでは分譲当初から店舗7を所有していた分譲業者(売主)がマンション敷地内の駐車場37区画を勝手に第3者に貸して使用料を徴収していました。

これを知った管理組合は、まず平成17年10月の臨時総会で売主の関連会社である本マンションの管理を委託されていた管理会社との管理委託契約を解除しました。

つづいて、平成18年12月の臨時総会で
①駐車場が区分所有者全員の共有である事
②管理組合が駐車場を組合員へ貸与し、その使用料は管理組合へ納入される事
を盛り込んだ管理規約の改正を行いました。
更に、平成20年8月に売主に対し、駐車場の明け渡しと、不法行為に基づく駐車場使用料6000万円の損害賠償請求訴訟を起こしました。

これに対し売主は、
①駐車場区画は重要事項説明書や管理規約に記載していた
②区分所有者らは売主が駐車場を無償で使用・収益する事に同意していた
③規約改正も売主に「特別な影響」を与えるもので無効
と反論しました。(その後、④駐車場使用権の時効による取得、も主張しました。)

判決は1審2審ともに、売主の駐車場の明け渡しを認め、損害賠償についても管理組合側の主張の1部を認めています。
理由は、要約すれば、
①当初の規約承認書については全員でなく5戸分が不足しており、区分所有者全員が売主
の専用使用権を認めているとはいえない、
②重要事項説明書の記載内容も専用使用権について明確に記載されているとは認められな
い、というものです。
③6000万円の損害賠償については、管理運営に重大な支障を及ぼしていないし、6000万円
もの多額の賠償をさせるのは酷なので、1部にしか認めませんでした。

しかし、もし重要事項説明書にキチンと駐車場の専用使用権が明記され、また不足なく全員が承認印を捺印していたら、判決は違っていたかもしれません。
あとで、“そんな記載があるとはしらなかった”“読んでいなかった”は通用しません。

改めて重要事項説明書や管理規約の重要性について認識させられた判決でした。

12月5日にムーブで開催する
「1から学べるマンション購入術」 到津~西小倉~大手町新築9物件徹底比較
の予約状況が好調です。
まだ、この独り言や「下関アイFP」くらいでしか告知していないのに、しかも1,000円の有料セミナーなのに、です。
でも、自分で言うのも何ですが、マンション購入者は必聴ですね。
さすが、専門家っていう話が聴けますよ。