マンション管理士の独り言・・・937

マンション管理士の独り言・・・937

「悪さしちゃ、ダメでしょ」

「こんな事、できました」シリーズはちょっと一休みです。
最近になってマンション購入者からのご相談が増えています。
管理規約をよく読んで、標準管理規約との違いは何となくわかったが、他のマンションの規約とどこがどう違うのか?また違う事によってマンションライフにどう反映するのか?などわかんない、つぶやき主さんおしえてよ”って感じです。
いくら法律に詳しい弁護士さんだって、他のマンションの規約とどう違い、そこからどんな影響が出るのかなんて分かるわけありません。

最近は、「グランリビオ高見七条 桜の杜」「アーティックス青山ヴェラヴィータ」「パークハウス桜坂サンリヤン」などの重要書類に囲まれて、セッセとレポート作成しています。
そんな中、「悪さ」をしている規約があります。
「悪さ」の定義は、購入者が知らない事をいいことに、売主や管理会社に有利になるような文言をわからないようにコッソリと忍ばせておくことです。やがてそれに該当することが生じたときに、売主や管理会社が圧倒的に有利になるようなことです。

「アーティックス青山ヴェラヴィータ」の「管理に関する承認書」に以下の文章があります。
“(購入者は)管理会社との間において締結される管理物件の維持管理に関する本マンションの管理委託契約を承認する事。尚契約期間は10年間とする”です。
前段は全く問題ありませんが、後段の契約期間10年間と言うのはおおいに問題ありです。
問題ありと言うより“マンション管理適正化法”違反の疑いがあります。
国交省は、管理組合と管理会社との間で締結される管理委託契約について、それまでは自動更新でも構わないとしていた方針を、契約期間は1年か2年、その都度重要事項説明を実施する、自動更新は認めないと変換しました。
知らないうちに自動更新されるのでは、管理組合の利益にならないとの判断からです。
そのような方針の元、今回の契約期間10年です。

“うちは以前からそのようにしていました”は通用しません。戸畑グランゲート・行橋グランゲート・到津の森グランヴェール・黒崎コルディア・下到津グランレスタなど今までの全てが契約期間1年としています。
なかやしきさんが管理していた管理組合さんで他社に乗り換え(リプレイス)された物件がかなりあります。
これを食い止めるために契約期間を10年としているのです。
「管理に関する承認書」の主たる目的は、管理規約原案を購入者に提案し、「その内容でいいですよ」と全員が署名捺印すれば晴れて管理規約として発効とする、そのためのものです。
これを悪用しています。
もし将来管理会社としてなかやしきさんの動きが悪く管理会社を変更しようとなった時、この管理に関する承認書の10年の管理委託契約期間が足かせになります。
最悪の場合なかやしきさんが、「購入者は契約期間10年間と記載している管理に関する承認書に署名捺印しているではないか。これは有効だ。10年未満の管理会社変更は認められない」と主張して訴訟になることも考えられます。

今からでも遅くありません。間違っていました、と訂正することを望みます。
このまま突っ走るようならば、不本意ですがお上の審判を仰ぐことにならざるを得ません。

なかやしきさんは、市内デベさんの中で珍しく分譲駐車場を行わない、未販売住戸の管理費などの扱いもそんなに悪くないなど期待していました。北九州市のマンション環境を良くするためのフロントランナーとして引っ張って行ってもらわなきゃならない立場なのに“なんじゃ、こりゃ、です”
とても失望しています。