マンション管理士の独り言・・・1071

マンション管理士の独り言・・・1071

「世間の常識は世間の常識。不動産業の常識は、不動産業の常識」

業界の常識が世間の常識とはかけ離れている例が多々あります。
つぶやき主はもう昭和~平成~令和と3時代をまたがってのマンション業界ですから、マンション業界のことだけはよく知っているつもりです。
例えば、アフターサービスや瑕疵担保責任に関して。
一般の人やマンション購入者は、営業マンから「引き渡し後、もし不具合あっても瑕疵担保責任がありますから、大丈夫ですよ」或いは「当社はアフターサービスが充実していますから安心ですよ」なんて言われて安心しています。
“不具合あっても瑕疵担保やアフターサービスあるから、無償で補修してもらえるんだ”って感じです。

ところが実際にアフターサービスなどの補修を行うのは売主から施工を請け負った建設会社、しかもその不具合部分を工事したのはその下請けの更に孫請け、なんてなっています。補修時にその孫請けがあるかどうかも分からず、元請けだって会社自体が存続していないことだってあります。
仮に元請けが存在していたとしても、ハッキリ言って瑕疵保証に該当する箇所なのか、アフターサービスの適用範囲なのかについて決めるのはその売主さんや施工会社さんなのです。
購入者や管理組合ではありません。
それをアフターサービスの文字面だけを見て、「この不具合箇所はアフターサービスの範囲内なので売主サイドで無償で補修してくれる」「品確法という法律で定められているから売主はキチンと補修してくれる」なんて思っていると大間違いです。

購入者や管理組合がいくら言ったって、「それは経年劣化ですから当社の責任ではありません。」或いは「自然災害によるものです。補修に際しては有償になります」と言われちゃいます。
それを売主の子会社である管理会社へ「売主へ補修するよう強くいってくれ」なんて言っても無理です。管理組合や管理会社がいくら理路整然と言っても、“経年劣化だからやらないと言ったらやらない”の一点張りです。
“やらない”というものをやらせることは出来ません。どうしてもやらせようとすれば裁判に訴えるしかありません。個人なら兎も角、管理組合でこの手の訴訟を提起するのは合意形成もあり至難の業です。

また、大きく世間の常識と乖離しているのが販売中マンションの残戸数です。
ネットなどで残戸数を表示していますが、甘く見積もってもその2倍は残戸数があります。
「申し込みを行ったが、ローン審査で落ちちゃった」などのホントのキャンセルもありますが、多くは売れ行き好調感を醸し出すために下駄をはかせています。
「売れ良き好調物件ですから、早くしないと売れちゃいますよ」なんてトークでお尻をあおります。
全戸が入居した後に住民間の話で、「うちが最後の一戸を買った」って言う人が何人も出てきます。
慌てなくてもいい住戸は残っているというのがマンションです。