マンション管理士の独り言・・・1073

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「瑕疵担保責任と宅建業法」

年末に建物不具合があり、それが瑕疵担保期間内なのかどうかについて管理会社の偉い方2名がヘンテコな解釈をしていました。
瑕疵担保責任は、民法と宅建業法、更には品確法にも関連し、一般法なのか特別法なのかの解釈も必要なので半ばプロとも言える管理会社の方が間違った解釈するのもアリかなです。プロでさえそうですから、一般の購入者はもっと間違えた理解しているかもしれません。
ちょっと深く掘り下げてつぶやきます。

民法570条は、瑕疵担保責任として瑕疵(隠れたキズ)あった時は、「買主はそれを発見して1年以内ならば契約解除・損害賠償を請求できる」としている規定です。
この場合の売主は、瑕疵があることについて無過失責任とされています。
瑕疵の存在について売主に責任なくても、売主が責任を負わなければなりません。
ここで言う、「瑕疵」とは通常の注意を払っても発見できない隠れたキズを指します。
従って買主のほうにも善意・無過失(知らなかったし、知らなかったことに過失がない状態)が要求されます。
また、買主が請求できるのは、契約解除と損害賠償であって、補修は入っていませんが、特約で補修を加えることは買主に有利になることなので有効です。
一方で買主に不利になるような、例えば、契約解除を除外するなどの特約は無効ですし、契約解除を外す代わりに補修を付け加える等も無効です。

この民法に規定に対し、宅建業法では「引き渡し時から2年間」が瑕疵担保期間と設定されています。
民法は、宅建業法に対しては一般法という扱いとなり、宅建業法に劣後します。
言い換えれば同じ事柄でそれぞれ内容が異なるときは、宅建業法は民法に対し特別法となり、宅建業法が優先されます。

具体的には、瑕疵担保期間を“知ってから1年”とすると、ボーっとしていた買主が10年後に瑕疵を発見したときも宅建業者(不動産業者)は責任を負わされることになり、それはちょっと酷すぎるという考えのもと、「引き渡し後2年」とすることのみ例外的に認めようとなっているものです。
しかし、売主である不動産業者が、民法通りの“知ってから1年”でいい、と言えば、そうなります。
特例として「引き渡し後2年」としているので、2年以上の3年や4年は買主有利となり有効ですが、引き渡し後1年などは無効です。
無効の場合は、特例扱いとはならず、民法通り“知ってから1年”という規定が採用されることになります。
国内で行われている不動産売買のほとんど全ては、民法の“知ってから1年”というのを“引き渡し後2年”としています。
ただし宅建業法が適用されるのは売主が不動産業の場合であって、不動産業でない一般の人が売主の時は、適用されません。
“瑕疵の存在を知ってから1年”も“引き渡し後2年”のどちらも採用せず「現状有姿」「瑕疵保証期間は2か月」「売主は瑕疵担保責任を負わない」としている契約書も、よく目にしますし、当事者の合意あればそれも有効です。

管理会社の偉い方は、新築マンションの瑕疵期間について、“引き渡し後2年”と規定されているものを、その期間終了後は民法の“知ってから1年”が適用されると思い込んでいました。
間違いダッセ。