マンション管理士の独り言・・・1293

マンション管理士の独り言・・・1293

「マンション共用部保険」

マンション共用部保険料の値上げ傾向が止まりそうにありません。

2015年、2019年、に続き2021年には全国平均6~8%という大幅値上げがありました。

2022年10月には、再度大幅な値上げがあるというのがもっぱらの噂です。

保険料はこれまでは保険請求事故数はあまり影響していませんでしたが、最近では特に更改前2年の保険金請求事故数が大きく影響してきます。

無事故の場合、最大で60%近くの割引率の場合もあれば、請求回数が多いマンションになると割り増し適用される場合もあるようです。

また、築年数によっても保険料は大きく異なって来ます。

同じ戸数・面積のマンションならば、竣工年が1990年と30年後の2020年とでは、2倍以上の保険料となります。

保険会社にとってマンション保険は儲からない商品となっており、撤退する保険会社も出てきていますし、今後も増えることが予想されます。

業界全体で支払われた保険金を見てみると、2008年95億円 ⇒ 2012年765億円 ⇒ 2018年1兆6000億円とすごい勢いで上昇しています。

自然災害が”大きく・増えて”いることも大きな要因ですが、水漏れ損害の増加が際立っているようです。

また、マンション共用部保険には必須である漏水原因調査特約については、東京海上火災のように1年度100万円が限度のところもあれば、三井住友保険のように1事故100万円、年間何度でOKというところもあります。

当然手厚い補償内容になっていればそれだけ保険料は高額になりますが、ただ単に保険料が安いからと言った保険会社の選び方はお勧めできません。

本年10月に大幅な保険料値上げがあることが確定したならば、現在付保している保険契約を10月までに中途更改するなどの方法も考えられます。しかし現在の安い保険料の期間があと何年残っているかなどを総合的に判断しなければなりません。

更に現在の保険の内容についても精査することが必要です。

保険金額は適正か?マンションは全壊することはまずあり得ませんので、保険金額は再調達価格の60%程度が一般的です。免責金額は適正か?も再考の余地があります。

個人賠償責任特約はマンション管理組合で付保するよりも、区分所有者が個人で契約した方が保険料が安くなる場合もあります。

機械式駐車場で地下駐車区画に停めていた車が水没した時の保証は含まれているのか?もこれを機に調べなきゃ、です。

水災保証が特約付保されていれば水没車輛の修理費用は保険金給付対象となりますが、地盤面より45㎝以上の浸水であることが必要です。

45㎝以下でも「機械保険」を特約保証していれば保険金給付対象となりますが、保険金支払額が高額になることが予想され、保険会社としては契約にかなり消極的です。また付保できたとしても保険料が高額になります。

水没車輛の修理費用はオーナーが付保している車両保険の対象となりますので、マンション管理組合としては「自然災害などで車両が水没しても管理組合は責任を負わない」と使用契約に明示しておくことも必要かもしれません。