マンション管理士の独り言・・・1298

マンション管理士の独り言・・・1298

「民法の原則を見直ししなきゃいけない・・・②」

民法には大きく4つの原則があります。①権利平等 ②所有権絶対 ③私的自治(契約自由)④過失責任 です。

このうち、前回は③私的自治の原則について、マンション売買契約時には見直す必要があるのではとつぶやきました。

売主と買主との間には、知識・情報・経験などで大きな格差が存在し、その両者の間で対等な立場で契約と言う法律行為を締結するのは無理がある、というものでした。

消費者保護の立場からも一考の余地があると思います。

今回は②所有権絶対の法則についてつぶやきます。

そのものの持ち主であるというのは絶対不可侵なものと規定されています。

ただし”公共の利益には劣後する”という原則はあるにはあるのですが、行政は及び腰です。強制執行するなどは滅多にあるものじゃありません。

最近では、九州横断道路の椎田あたりのミカン農場を強制撤去した例があります。

ここには今でも「公共事業とは?」という看板が建てられており、目にした方も多い事と思います。

北九州市でも空き家問題が顕著になってきて、空き家対策室なんていうのも設立されています。しかし、一戸建ての空き家問題はマンションのそれに比べれば大したことないと感じています。

古くなり、修繕工事も適切に行われていないマンションだと、相続人が放棄するケースが増えることが懸念されます。

戸建てならば相続すると、固定資産税・都市計画税などの税が主な負担となります。

しかしマンションの場合はこれら税負担に加えて、相続人には管理費・修繕積立金の負担が発生します。

築年数の経ったマンションの場合は、修繕積立金の額もハンパないものになっています。

「こんな古びたマンション相続しても、貸そうにも貸せないし、売ろうとしたって買主は見つからない。その上、税金だけでなく管理費や修繕積立金を負担しなきゃならない。どう考えてもメリットがない。相続放棄しよう」ってなることが懸念されます。

相続人全員が相続放棄しちゃうと管理組合は大変です。管理費や修繕積立金と言う債権を保有するので利害関係者に該当し、裁判所へ相続財産管理人の選任を請求することになります。

選任された弁護士へ予納金も支払わなければなりません。その都度総会の決議が必要です。

相続財産がほとんどないという場合には、予納金だって回収できないかもしれません。

これら全ては所有権絶対の法則から、派生しているものです。

”所有者を見つけ出す””権利のある相続人の意思を確認しなければならない””勝手に人の所有権を侵害してはいけない”からです。

それら手続きの間も、管理費や修繕積立金の滞納額は積みあがっていきます。

整理がついた時に売却しようとしても、滞納額が膨れ上がっており、とても買い手がつかないということが考えられます。

管理組合がもっと柔軟に迅速に活動できるように、敷地や共有部分の共有者であることに重きを置いて、マンションに限り所有権絶対の原則をちょっぴり例外扱い、とならないものでしょうか。