マンション管理士の独り言・・・1014

マンション管理士の独り言・・・1014

「契約書」

管理会社変更のコンサルタントのご依頼がありました。
内容も金額も決まり、契約書の文言について細かく打ち合わせを行っています。
契約書について、車の売買契約や不動産仲介媒介契約のように予め所定の様式があればいいのですが、管理会社変更のコンサルタント契約書なんてひな形がありませんので、管理組合様と打ち合わせを行いながら一から作成しなければなりません。

“管理組合(以下、甲と呼ぶ)とエースマンションコンサルタント(有)(以下、乙と呼ぶ)とは甲の管理会社変更についてコンサルタント契約を締結したので、その証として本契約書を作成し~”から始まりますが、契約を締結したので、契約書を作成するのか?あるいは契約を締結するので契約書を作成するのか?という出だしから打ち合わせを行っています。

つぶやき主は、行政書士の試験にも合格していますし、この手の契約書は多く作成しているのですが、それぞれ業務の内容や請負金額が異なりますので、毎回毎回頭を捻ることとなります。
行政書士試験には合格していますが、行政書士会に加入していないので行政書士と名乗れないのが辛いところです。

でも改めて考えてみれば、このような発注側と請負側とが平等な立場で、依頼する業務の内容や金額、支払い方法などを打ち合わせて、合意の上で書面化し契約書に双方が署名捺印を行うという作業は契約社会では基本中の基本の行為です。
業務遂行時には、言葉だけのやり取りで、“なア、なア”で済ませられることばかりではありません。
業務の内容や成果に対して疑義が生じた場合には、やはり契約書に基づいて判断するということになります。
オーストラリア等では、売買契約や請負契約を締結する際は、弁護士が一言一言確認してから契約を締結するというのが一般的だそうです。

日本においても民法で“私的自治の原則(契約自由の原則)”で契約の当事者双方が自由な意思で結ばれた契約は、公序良俗に反しない限り有効という原則があります。
マンション購入においても、本来は売主と買主とで個別に対等な立場で、売買契約書の内容について打ち合わせを行い、契約を締結すべきですが、現実はそのようになっていません。
買主には、売主が予め用意した売買契約書で、契約するのかしないのかの選択肢しかありません。
支払い方法だけが、購入者によって少し異なるだけで、引き渡し時期や最終金支払い時期、などが予め売主サイドによって決められており、買主はそれで契約するしかありません。

市内マンションでも「買主は契約事務手数料を○○万円支払う」と記載されている売買契約書と事務手数料なんて必要ない契約書があります。
事務手数料を支払うって記載されていれば、支払いたくなくても支払わなければなりません。どうしても支払いたくなければそのマンションの購入を諦めなければなりません。
そのマンションを購入するならば、売主が用意した売買契約書の内容で契約しなければならない、支払い方法以外は買主さんの希望は入れられませんよ状態が、果たして平等なのかというと大いに疑問が残ります。

しかしそれが現実ならば、購入者は契約書に内容についてくらいはしっかり把握しなければなりません。

「買主は契約事務手数料を○○万円支払う」と記載されている売買契約書で、それを撤回させたことがあるので、つぶやき主は嫌われちゃいます。