マンション管理士の独り言・・・1096

マンション管理士の独り言・・・1096

「コロナウィルスが管理組合活動に与える影響」

福岡県は、緊急事態宣言地域に入ってしまいました。
つぶやき主が生息している北九州市では門司の小文字病院で集団感染があったり、小倉南区職員の感染も発生し、区役所は一日閉鎖して消毒が実施されました。もう他人事ではありません。
“不要不急の外出は控えるように”とのお達しですが、理事会や総会が目白押しとなるこの時期は外出しないわけにも行かず、悩ましい所です。
明日は海を渡っての管理組合さんで監査があります。どうしたものか思案中です。
3密にならないように、なるべく短時間で役員さんと距離を取って実施するしかない、って思っています。

飲食店が臨時休業し各種イベントが自粛されるなどで、多くの人の収入が減少しています。
世帯当たり30万円の所得補償を実施するらしいですが、適用となるハードルがとても高く全世帯の5分の1程度にしか行き渡らないって話です。
多くの組合員の収入が減少するわけですから、管理組合活動に対する影響も避けられません。
まず考えられるのは、管理費や修繕積立金の滞納です。

収入が減少してもお腹はすきますので、米などの食料品に対する支出はそんなに下げられません。
これまでの経験上真っ先に滞納が始まるのが管理費等です。
ローン返済や携帯電話の使用料の延滞が始まる前に、先ずは管理費などの延滞が始まります。
延滞が始まれば管理組合は督促を行うこととなりますが、同じ屋根の下に住む組合員同士なので、どうしても遠慮がちになってしまいます。
また、管理会社が督促を行う場合でも、延滞したと言っても相手は組合員さんですから、そんなに強引な督促も行なえないというのが実情です。
さらに管理委託契約では、最終的に滞納分を回収する責任者は、管理組合となっています。管理会社さんは電話や書面、面談などで6か月くらい督促活動を行えば、お役御免ってなっています。
このような督促の実情をわかっているのか、収入が減少したら、真っ先に管理費などの滞納が始まります。

この延滞された管理費などを回収するのはかなりの重労働になります。一度に全額を返済するのは無理、ってことが多いですから、滞納者と“今の管理費等にいくら上乗せして返済できるのか”を打ち合わせなければなりません。
長ければ、全額回収に3年くらいかかったりします。
覚書を交わしますが、「違反した場合は、管理組合は駐車場契約を一方的に解約できる」などを盛り込みます。
しかし、好きで滞納しているわけじゃありません。それなりの理由があってのことです。
絞り切ってもう十分に乾いてしまったタオルから、もっと絞って水滴を出すような作業になります。

また、幸いにも滞納が始まらなかった管理組合さんでも、修繕積立金の値上げなどは出来にくくなります。
値上げ要請する前に、管理委託料を含めた管理費の削減、管理会社見直し、現行サービスのお見直し、エレベーターメンテ費用の見直しなど、マンション維持管理の費用削減への要求が強まることが予想されます。

次回は、「延滞された管理費などを、チャラに出来るか」って話です。