マンション管理士の独り言・・・1119

マンション管理士の独り言・・・1119

 

「修繕積立金値上げのタイミング」

 

マンションの規模や設備にもよりますが、修繕積立金の全国平均額は、11,243円です。(平成30年マンション総合調査)

これを見れば北九州市内新築分譲マンションの3,000円とか4,000円程度の積立金が、いかに極端に低額設定されてるのかが一目瞭然で分かります。

「毎月のローン返済額に管理費・修繕積立金・駐車場代金を含めてもまだ、○○円ですよ。まだ賃貸に住まい続けますか?」みたいな切り口で販売しているから修繕積立金を意図的に低く設定せざるを得ないのです。

 

3,000円とか4,000円程度の修繕積立金で築後12年目くらいに予定されている大規模修繕工事の費用が賄えるわけがありません。値上げは必須です。

それでも最近の長期修繕計画は、割とマシになってきました。キチンと値上げ額も示されているものが増えてきました。

以前の長期修繕計画は、築後5年目くらいに小さな字で“総会にて修繕積立金の値上げ検討”程度の記載だったのですが、5年目10年目25年目と具体的な値上げ額が示されています。もっともいくら言っても分譲販売時に長期修繕計画を示さない不届きな売主もいるので、・・・困ったものです。

 

値上げが必須の修繕積立金ですが、値上げには総会での承認が必要です。

分譲販売時に長期修繕計画の提示のなかったマンションで、何年目かの総会で修繕積立金の値上げ議案を上程したところ、“そんなの聞いていなかった。いきなりそんなに上げるなんて詐欺にあったみたい”という意見が噴出して値上げところでなくなったことがありました。値上げ案がキチンと記載されている長期修繕計画を提示しない売主が一番悪いのですが、それを確認していない購入者もどうかと思うのですが・・・。

 

ではいつのタイミングで総会議案上程するのが良いかというと、先ずは、管理費などの滞納者がいないということが大前提です。

“滞納者から回収するのが先だろ、積立金の値上げはそれからだろ”って言われちゃいます。続いては、余分と思われる経費の削減を行ってから、となります。

管理委託料の見直しを含めてエレベーターメンテ費用や宅配ボックスメンテ費用などの見直しを行います。

こっち(管理組合)から言わないと受託先(管理会社やメンテ会社)からは、“見直した結果少し高いので安くしました”なんてことは絶対に言ってくれません。

新築以来全くこれら経費の減額を要請したことのない管理組合さんがあったら、これを機に言ってみましょう。間違いなく減額されます。

「理事会では本当に必要なサービスなのかを含めて、実際に経費の削減も行いましたが、それでも大規模修繕工事時には○○円不足しそうです。ですから今回、修繕積立金を○○円値上げすることを提案します。」としなくちゃです。

 

また、分譲販売時に提示された長期修繕計画に記載されている値上げ時期そのままに総会で値上げ議案を上程することも大事です。長期修繕計画に築後5年目に積立金の値上げが計画されていたら5年目の総会で議案上程することで承認がスムーズにいきます。

 

「分譲販売時に売主さんからもらった長期修繕計画通りの時期に、その値上げ額で議案化しています。皆さんこのマンション買うときに、それを分かって購入したんですよね」という切り口です。

管理会社さんも、売主さんの販売時の意図的な修繕積立金低額設定のとばっちりを受けるのがわかっているので、修繕積立金の値上げを先送り先送りにします。そうすることで余計に話がややこしくなっちゃいます。

 

全ての議案についても言えることですが、特に修繕積立金の値上げ議案についてはタイミングが重要です。