マンション管理士の独り言・・・1120

マンション管理士の独り言・・・1120

 

「受け入れる度量」

 

マンションライフでは、戸建てでの生活より「受け入れる度量」が必要になります。

規約で規定されていることや新たに総会で決議されたことは、例えそれが気に入らなくても従わなくてはなりません。

標準管理規約第3条に、「区分所有者は、円滑な共同生活を維持するため、この規約および総会の決議を誠実に順守しなければならない」と規定されています。

また、総会の決議を守らない行為は、区分所有法第6条の「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理または使用に際し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」にも抵触します。

 

総会での決議要件は普通決議の場合、総会出席者の過半数で承認となりますから極端なことを言えば組合員総数の4分の1程度の賛成で可決されちゃいます。

多くの人が賛成すると思われる議案ならばいいのですが、考え方により2分されるという議案の場合に問題が生じます。禍根が残る場合もあります。

自分の意向と反対側が採用となっても、その結果には従わなくてはなりません。

つぶやき主の経験上、意見が大きく2分された議案は、「桜の木の伐採」「来客用駐車場の新設または廃止」「自動販売機の設置または廃止」「定期清掃の回数の見直し」「オートロック開錠の際の暗証番号の設定または廃止」などです。

「修繕積立金の値上げ」に関しても、何故今上げるの?今でなくてもいいでしょ。何でこの金額なの?もっと低い金額でもいいでしょ」という意見が出されます。

 

例えば「オートロック開錠の際の暗証番号を設定」しようとします。ゴミ出しに際しわざわざ鍵を持って出なくて済みます。便利になるのは間違いないのですが、マンション関係者以外に番号が漏れることがあり、防犯性能は低下します。

「桜の木の伐採」に関しては、“落ち葉や毛虫で困っていた。樹液で車が汚れる。伐採に大賛成”というご意見と“年に1度の開花を愛でている。綺麗で素晴らしいじゃないか、人間の都合で簡単に切るなんて言うな”というご意見とが対立します。

どちらが正しいとか間違っているというのでなく、軸足をどちらに置くのかの違いですが、これがなかなか折り合いません。ずっと意見が対立します。採決して多い意見のほうに従わざるを得ません。

 

そして採決の結果、可決となっても否決となっても、仮に自分の意見と異なる結果になったとしても組合員は潔くその結果を受け入れなくてはなりません。

しかしそうスンナリとはいかないところにマンションライフの難しいところがありますが我慢しなきゃ、です。

 

戸建てならば自分の気に入らないことはしなきゃいいし、またしなくても済む話です。

しかしマンションは組合員全員で共有する共用部分の維持管理やマンションライフのルールを皆で決めなければなりませんから、自分の考えとは大きく異なることが総会の決議を経て実施されることがしばしばです。

自分の思い通りにならないと、人は不機嫌になり怒ります。

しかし、怒っちゃダメです。“金輪際マンション管理には関与しない”なんて思っちゃダメです。極端な人になると“第2管理組合を設立する”って言いだす人まで現れます。

 

自分の意図とは異なる結論となっても、それが適法になされた決議ならば潔く従わなきゃいけないというのがマンションのルールです。

「気にいらない総会の決議でも、怒っちゃダメ。我慢して、従わなきゃ」です。