マンション管理士の独り言・・・1127
「議決権割合」
マンションを購入すれば法律上当然に管理組合員になります。
「あの人が嫌だから組合員にならない」「そんなのに入るから役員させられる、私は入んない」なんて言えません。
町内会や老人会のように、任意で加入を決められるっていうのじゃありません。
最近では、管理組合の運営が気に入らないとして別組織の管理組合を立ち上げようとする変な輩がいたりします。
このため、管理規約に「分譲当初に存在する管理組合が唯一のものであって、それ以外の組合を設立しようとしてはいけない」とわざわざ規定している組合さんも増えています。
そして管理組合員には議決権が付与されます。
何票が付与されるかというと、区分所有法では「専有面積に応じて」です。
従って50㎡の住戸を購入した人は、全体の専有面積の合計に対して50だけ議決権があることになり、同じマンションで100㎡の住戸を購入した人は、全体に対して100の議決権があることになります。
区分所有法では50㎡購入の組合員と100㎡購入の組合員とでは議決権に2倍の差が生じます。
しかし実際はこんな綺麗な数字になりません。小数点以下の数字が発生し、総会時に電卓片手に票数を弾かなくてはならなくなります。
事実総会時に早見表などを作成し専有面積割合通りの議決権を付与して総会を開催している組合さんもあります。
これでは現実的ではないとして、標準管理規約では“面積差があまりない場合は、1票ずつで構わない”としています。
“面積差があまりない場合”の考え方は、管理費や修繕積立金の負担割合が面積に比例していて、面積差が2倍を超えて同じく1票ならば無効とされるというのが多数説です。
しかし、地場デべさんの分譲マンションでは面積差にかかわらず、どの住戸も同じく1票としているところがほとんどです。
つまり管理費などの負担割合が専有面積に比例していて、面積差が2倍を超えていても、議決権は同じく1票です。
これに対し大手デべさんマンションでは面積差に応じて議決権を付与する姿勢・工夫が見られます。
西小倉駅横のダイワDCタワーや小倉駅横の積水ハウスのグランドメゾンガーデンシティ小倉などは議決権割合を、専有面積割合に近づけようとしています。
1票ずつでなく、0,5票ずつに細分化していたりします。
先日地場デべさんの営業マン研修を行った際に、この専有面積割合=議決権割合が区分所有法の基本的考え方ということを説明した折に、どうしても納得できないという営業マンがいました。
曰く、「公職選挙法では、年齢や社会的地位、見識や納税額などに左右されずにどの人でも成人すれば等しく1票でしょ。大きな専有面積住戸を購入し、その大きさに比例して管理費を負担しているからその分だけ議決権も大きいという考え方ならば、公職選挙法でも納税額に応じて投票権を与えるべきではないか?」という論法です。
なるほど理屈は通っているな、と感じましたが、この御仁はマンション管理士の試験受けたら不合格だな、です。
憲法で保証された国民の権利を等しく守るための公職選挙法と、財産保全や共有物の維持管理が目的の区分所有法では、その生い立ちも考え方も、当然ながら目的も異なります。
同列視していいものではありません。
もっと言えば、法律でそうなってるから、そうじゃん、です。
標準管理規約の元になっている区分所有法では、議決権割合は専有面積割合に応じるというのが基本的考え方なのをお間違えの無いように。