マンション管理士の独り言・・・1131

マンション管理士の独り言・・・1131

 

「コロナ禍、共用部消毒」

 

複数のマンション管理組合さんからコロナウィルス陽性者が出たときの対応について使用細則を作ってほしいというご依頼があります。

新型コロナウィルスは「感染症予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(以下、感染症法と呼ぶ)により指定された感染症です。

令和2年政令第11号で指定感染症となりましたので、入院費などは公費負担です。

 

もしマンション居住者で陽性者もしくは罹患者が出た場合、管理組合はどのような対応を取るのか?取らなければならないのか?また取れるのか?を予め決めておきたいという理由からのご依頼です。

陽性者が出たマンションの事例を調べてみましたが、どこも保健所の指導を受けて対応しています。つぶやき主の知る限り、特別な対応を取った管理組合さんはないようです。

せいぜい、オートロックやエレベーターの押し釦や共用部ドアノブの消毒とまりです。

テレビで見るように仰々しい防護服を身にまとって消毒作業したマンションはないようです。

 

陽性者や罹患者が出た場合は速やかに管理組合へ届け出ていただきたいものですが、プライバシーもあり強制は出来ません。

前述の保健所の指導も、具体的に「○マンション管理組合の者だが、当マンションの△△△号室の□□さんが陽性反応が出たと届け出があった。管理組合として消毒しようと考えているがその範囲や方法などを教えてほしい」と陽性者の名前までわかっていれば指導してくれますが、「どうも陽性者が出たみたい」程度では、何にも教えてくれません。

 

ですから管理組合としては、「プライバシーには厳重に気をつけるから陽性者が出たら積極的に教えてね」くらいが限度です。

そのうえで、陽性者が出た住戸は、その住戸の所有者の責任と負担で速やかに戸内の消毒を行うことを義務付けます。

共用部に関しては保健所などの指導を仰ぎながら速やかに消毒作業を行うこととなります。“ウチの玄関先まで消毒してほしい”なんていう組合員に対して、「保健所の指導に従って範囲や方法を決めています」が錦の御旗になります。

 

共用部消毒に関して「その費用は?」については意見が分かれます。

“コロナウィルスに感染した人の費用負担で消毒作業を行うべきだ”という人と、“マンション住民の健康に資することに使用するのだから管理費で支出できるんじゃ、ない”という人とに分かれます。

更に、“このご時世、陽性者は夜な夜な飲み歩いていた。いつか感染すると思っていた。その人の不注意で感染したのに何で消毒費用を管理組合が負担しなきゃならないの”に対しては“飲み歩くこともなく注意して生活していた人が運悪く感染する場合だってある。その人に共用部の消毒費用を負担させるのは酷”という意見も出されます。

理事会で、夜飲み歩いて感染した人には共用部消毒費用を負担させ、運悪く感染した人については当該費用を管理費より支出、なんてジャッジ出来るわけありません。

 

そこである組合さんでは、共用部消毒の費用は5万円までは陽性者負担、それを超える分については管理組合負担としました。

決してベストの案ではないと思いますが、そんなに悪くないのでは、なんて悦に入っています。

まずは、「陽性者が出たら積極的に管理組合に教えてね」「陽性者の住戸は陽性者の責任と負担で消毒しなきゃですよ」「共用部に関しては保健所の指導に基づいて、管理費(或いは陽性者)負担で消毒できる」「管理組合は陽性者のプライバシーには最大限気を付ける」くらいは決めておかないと、その時の理事会に任せっきりでは荷が重すぎますよ。