マンション管理士の独り言・・・1144

マンション管理士の独り言・・・1144

 

「長期修繕計画」

 

マンション購入時に長期修繕計画を渡されます。

サンパークさんは渡さないようですが、フラット35利用者がいるので住宅支援機構に提示しなければならず、必ず作成しています。

希望者は閲覧させます、ってスタンスですが、これってどうなの?です。

 

その長期修繕計画には、築後10年~15年目くらいの間で第1回の大規模修繕工事が実施されるように計画されています。

足場を組み、仮設の現場事務所を設置して、屋上防水や外壁タイル補修、塗装補修、シーリング工事などが主な内容で、それぞれの費用が計上され、それらを修繕積立基金と毎月の修繕積立金で賄えるような計画になっています。

補修工事のうち必ず実施しないといけないのはタイル補修工事です。最優先工事です。

もしタイルが剥落したら、その時運悪く真下を歩いていた人や物に損害を与えてしまいます。

“その損害は保険でカバーできるからいいじゃないか”という乱暴な意見を言う方がいますが、もしその事故で身体が傷つきハンディキャップを負うことになったら、被害者の人生を狂わせてしまいます。金銭で補填できるものではありません。

 

このタイル補修工事に関し、長期修繕計画では多くの売主さんが大体全体タイル枚数の3%~5%を張替としています。しかし近年は5%で済まないケースが頻発しています。

最悪の場合、全面張替というマンションが現れることも予想されます。

全面張替とはいかなくても10%~20%くらいの張替は現出しています。

当たり前ですが、長期修繕計画で5%と予想していたものが20%に膨れ上がったら修繕工事費用もそれだけ大きくなります。

国交省は、預金額に合わせて大規模修繕工事を行うのでなく、必要な工事は借り入れを起こしても行うべきとしていますが、借り入れを起こしてまで修繕工事を行う管理組合さんはそう多くはありません。

やはり預金額の範囲内で実施する組合さんの方が圧倒的に多いという印象です。

そしてタイル補修に多くの費用がかかった結果、屋上防水などは手を付けられずに後回しになってしまいます。

 

5%から20%へ超過した張替費用を管理組合が負担するのってどう考えても可笑しいと感じています。

張替タイルが増えたのって、大地震などが発生した場合を除き、手抜きと言ってはいけないのでしょうが、しっかりした工事がなされていない結果であることは間違いありません。

売主や施工会社がしっかりした工事を行っていれば、大規模修繕工事時にタイル補修が5%で済んだはずです。それを怠ったツケを何故管理組合が負担しなければならないのでしょう?

 

第1回目の大規模修繕工事時にタイル張替工事が5%を超える場合には、その超えた分の費用は売主や施工会社に負担させることが理にかなっています。そのような制度が出来ないものでしょうか?

或いは、“5%を超えた場合は自社が負担します”って誠意ある売主さんが現れないものかと期待しています。

 

マンション購入者は、外壁などの検査は全く行えず、どんな状態かもわからないまま“今後の管理はお願いね”って引き渡しされ、その挙句に大規模修繕工事時に5%を大きく超えたタイル張替工事費用を負担させられています。何とかならないの?