マンション管理士の独り言・・・1162

「役に立たないアフターサービス」

ちょっと前の独り言でつぶやきましたが、“アフターサービス期間というのはその期間が終了すれば晴れて補修する責任がなくなる”そのように認識している売主さんが多いと感じています。

何度、“アフターサービス期間が終了していますので、その補修は出来ません。補修するのならば有償になります”と言われたことか・・・。

実際に住んでいて常に目にしている専有部分に関しては、不具合があれば引き渡し後2年の期間があれば十分だと思います。

しかし外壁タイルの剥離やエントランス床の浮き、塗装剥落、屋上防水の不具合など共用部分に関してはよほど関心を持っていても2年程度では気が付くものではありません。

また竣工後2年で剥落するタイルや塗装などほとんどありません。

しかしこれらもアフターサービス基準では2年の保証期間です。

仮に竣工3年目でタイルが剥落しても保証対象外となってしまいます。

3年で剥落するようなタイルは施工に不備があったとしか思えません。

住宅の品質確保に関する法律(略称:品確法)では、外壁など主要構造部に対しては、10年間の瑕疵期間を定めていますが、対象となるのは外壁そのもので、外壁に貼っているタイルや塗装は対象外です。

もっと言えば、雨漏れの場合対象となるのは住戸内に限られており、開放廊下上裏やバルコニーへの雨漏れは対象外となっています。

はっきり言って業界に骨抜きにされた、あまり役に立たない法律です。

専有部分は建売住宅と同じように2年のアフターサービス期間で良いと考えますが、共用部分に関しては、2年では短すぎます。

外壁タイルが3年で剥落したという現象が現れても、アフターサービス期間終了だから売主は責任を負わない、っておかしいでしょ。

民法上、構造物の管理責任は無過失責任です。

竣工3年後にタイルが剥落し、運悪く通りかかった人を傷つけてしまった、という事件が発生した場合、管理組合がキチンと維持管理を行っていた、つまり建物の保存に過失がなかった(=無過失)としても管理者(=管理組合)が責任を負わなければならない、とされています。

その時のために共用部保険を付保している、なんていう人がいますが、事故にあわれた方が体に損傷を負い一生ハンディキャップを背負って活きていかなければならなくなった、ということは金銭で解決できるものではありません。

アフターサービス期間はこと共用部分に関しては2年では短すぎます。

売主さんや施工会社さんが今以上に気を配って責任持った工事とするためにも、もっと伸ばさなきゃ、です。

最近補修依頼をすると立て続けに、「アフターサービス期間が過ぎていますので、対応できません」と言われました。閉口しています。