マンション管理士の独り言・・・1194

マンション管理士の独り言・・・1194

「責任ない数字」

グランドパレス黒崎ランドマークス3%、グランドメゾンガーデンシティ小倉2%、グランリビオ高見七条桜の杜3%。

これは分譲時に売主さんが作成した長期修繕計画に記載されたそれぞれのマンションの第1回大規模修繕工事時に劣化して貼替る必要のある外壁タイル割合です。

なかやしきさんや九州三共さんの長期修繕計画にも、それぞれ大規模修繕工事時に貼替えタイルの数字が計上されています。

しかし塗装やピンニング補修費用が含まれていて、その上パーセンテージや全体タイル面積が記載されていませんので全く不明です。解読不能です。おそらく2~3%程度でしょう。

100戸程度のマンションならば、外壁タイル面積はおおよそ5000㎡です。

そのうち3%の貼替ならば150㎡となりますが、実際にこの数字で済めば優秀です。

現実には、少なくて5%。まあまあならば10%。ひどいのになると40%というマンションもあります。

タイルの貼替に要する費用は、下地処理を含めて㎡あたり約30,000円です。

貼替せずにアンカーピンニングエポキシ樹脂注入の場合、㎡20穴で約8,000円です。

タイルを新たに焼く費用は、物にもよりますが、通常の2丁掛けタイル10,000枚で約200,000円です。タイルは1㎡貼替るのに約200枚必要です。

100㎡の貼替ならば20,000枚のタイルが必要ということになります。

例として100戸、タイル面積5000㎡のマンション。

そのうち3%(150㎡)を貼替る場合、材料費(タイル焼き費用)が400,000円。作業代が4,500,000円で約5,000,000円の費用が必要となります。

これが貼替面積が、5%(250㎡)になった時は、材料費が約1,000,000円、作業代が7,500,000円で、合計8,500,000円必要となります。

同じ計算方法で、10%貼替(500㎡)ならば合計17,000,000円。

20%(1000㎡)ならば、34,000,000円となります。

売主さんが長期修繕計画で提示した2~3%の貼替ならば約500万円の支出で済みますが、もしこれが5%に膨れると約850万円となり、更に最近では10%超の貼替を良く耳にしますので、そうなれば1700万円もの支出となります。

3%貼替と10%貼替ならば差額は1200万円となり、計画よりかなりの支出過多です。

ここからが本論ですが、何故この費用を管理組合が負担しなければいけないのでしょう?

管理組合が、マンション建築中に“第1回目の大規模修繕工事時に10%貼替となるような施工でいいよ”と言ったのなら兎も角、しかもその施工建設会社に工事を請け負わせることについて管理組合の意向は全く入っていません。

売主さんが勝手に連れてきた施工会社さんです。

その挙句に“本来ならば2~3%で済む貼替が10%になっちゃいました。その分管理組合さん負担してね”ではあまりに売主さん、施工会社さんは無責任で管理組合さんが可哀そうです。

売主さんが長期修繕計画で2~3%の貼替と記載しているのですから、施工会社さんはそうなるような施工をしなきゃいけません。

また売主さんや設計監理した建築事務所さんも、2~3%程度の貼替で済むように目を光らせて、指導・監督しなければなりません。

「第1回目の大規模修繕工事時に外壁タイル張替が5%を超えた場合は、売主や施工会社、更には設計監理の建築事務所の連帯責任で、超過分を負担しなければならない」なんて法律出来ないものか?と思っています。