マンション管理士の独り言・・・1205

マンション管理士の独り言・・・1205

「騒音トラブル・・・売主さんへの要望」

コロナ禍により福岡県が緊急事態宣言を発布することになり、管理の現場は大変です。

先週の土日に大規模修繕工事の着工前説明会を開催しました。

100戸超のマンションなので、通常ならばどこかの会場を借りて大規模に開催するのですが、どこの会場も借りることができません。

50人程度のキャパシティのマンション集会所で、4回に分けて(1回当たり25人程度)開催しようとしましたが、これでも多人数すぎると判断し、10回開催することとしました。

「これだけ丁寧に記載していれば説明会には敢えて出席する必要はない」と思ってもらえるような通常よりも細かいところまで記載した説明書を事前に配布します。

密を避けるためにあれやこれやと工夫を凝らします。

コロナ禍が過ぎてからユックリと大規模修繕工事を実施出来ればいいのですが、タイルの状態が宜しくなく、速やかに補修しなければなりません。大勢の人に集まっていただくことが出来ない状態での合意形成です。無事完了するまで資料作りにセッセと励まなければなりません。

これが影響してあまりつぶやけません。

騒音トラブルについて発生源である上階の方へ物理的な対応法をススメ、また被害住戸の方へは受忍限度についてつぶやきました。今回は売主さんや設計会社さんへのお願いです。

騒音トラブルは簡単に防げます。遮音性能の良い造りにすれば良いだけです。

具体的には床スラブ厚をもう50mm厚くする、或いはパーティクルボード+12mmフロアー材という現行の仕様にもう一つ鉛入りボードを加える、とすればL値が5は下げることが出来ます。

その分販売価格は上がります。当然です。

販売価格が上がったことにより、売れ行きが鈍くなることがあるかも知れません。

しかしそれも一時的なものです。遮音性能が良いとなれば、必ず売れます。

消費者はバカではありません。「他と比較して遮音性能が良いならばその分高くて当たり前、お金を払うだけの価値がある」というという賢い消費者が必ずいます。

「この売主さんのマンションは遮音性能が良い」となれば、良質なブランドイメージ構成にも役立ちます。他社との差別化にもつながります。また、高い分だけ顧客の層も上がることも考えられます。

いいマンションを供給する売主さんと市場に認めてもらえれば、中古になった時にも価値が下がることなく、買い替え顧客の醸成にもつながります。

新規マンション供給→中古の価値が落ちない→中古が高く売れる→高く売れたので新築マンションに買い替える→またこの売主さんから購入しようといいサイクルが出来上がります。

そんなに上手くいくか、って思われるかもしれません。

しかし「この売主さんのマンションを買って騒音トラブルで酷い目にあった。友人にも勧めない」とアンチ顧客を作らないだけでもずっとましです。

ちょっと前まで有名なA管理会社さんのフロントマンの平均在職年数は4年と言われていました。管理組合員からの容赦ない口撃に耐えられずに退職していくのです。

退職理由の一つにこの上下階の騒音トラブルがあるのは間違いありません。

上下階騒音トラブルに対し管理会社フロントマンに何の原因・落ち度があるのでしょう。

売主さんの「遮音性能はそんなに良くない。騒音トラブルがあるかも知れないけど後はよろしくね」って尻拭いをさせられるのがフロントマンです。

管理会社フロントマンから拍手喝采のつぶやき、でした。