マンション管理士の独り言・・・1206

マンション管理士の独り言・・・1206

「循環型市場」

前回まで上下階の騒音トラブルに関しつぶやきましたが、結局のところ売主さんが今よりも遮音性能が優れたマンションを供給するのが一番良い方法です。

そのためには売主さんにとって遮音性能が優れたマンションを供給することが自社のメリットになる、となれば良いのです。

遮音性能が今よりも優れたマンションを供給すると、その分販売価格は高くなります。

高くなるけれども売れにくくはなりません。

競合物件と差別化できますし、何より「良いものはその分高くて当たり前」「快適に住まうならば支出は厭わない」という賢い消費者が存在します。

マンションと言うのは多くの消費者にとって生涯で何度も買えるものではありません。

ケチって買うものではありません。消費者はその品質に見合ったものならば、購入するものなのです。遮音性能が優れたマンションはその分割割高になっても、間違いなく売れます。

少しお高いが遮音性能の良いマンションを購入するとどうなるか?

市場での売主さんの評価が高まります。マンション購入を検討している友人に聞かれた時に「〇〇シリーズのマンションは他社より少し高いけど、遮音性能が優れている。おススメ出来るよ」って言ってくれるでしょう。

購入者自身も、少し高いけどいいマンションに住んでいるってプライドをくすぐられますし、何より住んで快適です。「〇〇シリーズのマンションを買ってよかった」です。

上下階での人間関係も壊れることがありません。

また、管理組合や管理会社フロントマンが上下階トラブルで頭を悩ませる機会が随分と少なくなります。フロントマンはもっと充実した管理サービスを提供することが出来ます。

やがてそのマンションを売って他に住み替えようとします。市場で遮音性能がワンランク上というマンションならば強気な売値を設定することが出来ますし、早期の売却だって可能です。どこの不動産屋さんに仲介を依頼するかってなると、「今度も○○シリーズの売主さんに依頼しよう。信頼できる」ってなり、〇〇シリーズのマンション売主さんは不動産仲介業でも利益を得ることが出来ます。

マンション購入者は、一度売ってしまえば今後顧客にならない、って考えるのでなく、将来の顧客の囲い込みが出来るって考えなければなりません。

不動産仲介業で一番苦労するのが売主さん(新規売り出し物件)を探すことです。

折角1度は〇〇マンションシリーズを買ってくれたのです。少なくともその時点では〇〇マンションのファンなのです。そのファンの満足感を上げ、以降もずっとファンでいてくれるようにしなきゃです。

そのためには遮音性能を含めた居住性の高いマンションを供給するのが一番です。

市内売主さんの1社でも遮音性能の良いマンション供給に踏み出すと、間違いなく他社もこれに追随します。

マンションは、「安かろう、悪かろう」で買うものではないからです。

「他の都市に比べて北九州のマンションは質が高い」となるのも現実味を帯びてきます。

このまま遮音性能が今一つのマンションを供給し続けると将来は中古マンションが売れなくなる懸念があります。

中古マンションが売れないと買い替え客が減少し、その結果新築マンション市場が小さくなってしまう。北九州の不動産市場の縮小にもつながります。

遮音性能に優れたマンションは北九州の不動産市場を救う、と、言い過ぎでしょうか?