マンション管理士の独り言・・・1215

マンション管理士の独り言・・・1215

「机上の空論」

金麦週間で、マンション購入を検討している方のご相談に応じました。

通常相談料は30分4,000円頂戴していますが、金麦6本でOKという大盤振る舞いの企画です。

管理費と修繕積立金との違いや用途などの説明の折、「余計な管理サービスを削ることが出来れば、管理費削減につながりますね」ってご意見が出されました。

実務経験のないマンション管理士さんは「その通りです」と言うのでしょうが、実務的にはとても難しい作業です。

例えば、コンシェルジュサービスです。大規模マンションでは管理人さんの他にコンシェルジュを置いている物件も増えてきました。いかにも高級感を醸し出せそうな売主さんにとっては、「売り」につながるサービスです。

管理費の見直しの話が出ると真っ先に削減対象に登るのがこのコンシェルジュサービスです。

「管理人さんがいるのにコンシェルジュいらなくね?」って声が上がります。

コンシェルジュサービスを外せば管理費が大きく削減できます。

しかし、無理な場合がほとんどです。

「コンシェルジュサービスがあるからこのマンションを買った」って方が必ず一定数存在します。

同じく、ゴミを玄関先に置いていると管理人さんや清掃の方がゴミ置き場まで持っていってくれるケータリングサービスも削減対象に上がります。このサービスは販売時には効果的な販促ツールになるので売主さんは必ず採用します。

しかし、実際の管理の現場では、持ち出し時間を守らず管理人さんなどが定時に回収したのちに玄関先に出す入居者も多く、「また玄関先まで回収に行かなきゃ」などトラブルが頻発します。

また、持ち出し時間と清掃車の回収時間との時間のズレがあるので、「玄関先に出す時間をもうちょっと遅くしてよ」などの苦情も発生します。

更に回収する人材を確保しなければなりません。

管理会社とすればトラブルもあるしあまりやりたくないサービスの一つです。

このケータリングサービスを取りやめることも実際には不可能です。

「ケータリングサービスがあるからこのマンションを買った」人の猛反撃にあい、見事に撃沈です。

共用部分の照明器具の点灯時間を変える事さえ、実務的には不可能です。

「夕方明るいうちから照明器具が点灯してる。昼行燈みたい」「少し暗くなってるのにまだ点灯していない。鍵穴が見えずらい」など意見が百花繚乱です。

何度もつぶやきましたが、桜の木をはじめ敷地内樹木の伐採は至難の業です。「落ち葉が側溝に落ちて排水が詰まる」「樹液が車に垂れる」「毛虫が発生する」という苦情意見に対し、「花が咲いている時を愛でている」「すぐに木を切ろうというのはエゴだ」などの反対意見も出て収拾がつきません。

この他、管理人さんの勤務時間を延ばしたり減らしたりするのも机上では可能ですが、実務的にはほとんど不可能です。

さらに、清掃範囲を広げたり減らしたり、定期清掃回数を増やしたり減らしたり、・・・ほとんどが不可能です。

管理サービス削減や管理仕様の変更などは総会の決議で出来るようになっていますが、実務的にはほとんど不可能です。ここの認識大事です。

それは本当に必要な管理サービスなのかを良く考えることが必要です。