マンション管理士の独り言・・・1224
「背筋も凍るマンション」
夏だから、思わずゾクッゾクッとなるマンションのお話です。
小倉北区の築40年超のマンションです。小倉駅近くにあり、周辺は焼き鳥屋さんや居酒屋さんが立ち並んでいます。
このマンションも1階が大宴会が出来る大広間をもった焼き鳥屋さんです。2階には小さなバーが3店舗入っています。
1階焼き鳥屋さんがある場所は、もともとはこのマンションのピロティ(柱だけの空間。この空間を駐車場として利用。俗称下駄履きマンション)でした。
そこを分譲主が勝手に外壁を作って部屋としてしまい、第3者へ売却しました。
また売却時に奥の敷地の余った空間に、8畳ほどの部屋を増築し、それも併せて売却してしまいました。
当然ながら、増築した段階で建蔽率・容積率オーバーの建物です。
さらに街中の建物密集地ですから防火地域ですが、用件は全く満たされていません。
何度も消防署から改善指導がなされています。
このような既存不適格というより違法建物の存在をなぜ行政がつかめなかったのかが理解できませんでした。
3年に一度の特定建築物定期報告時にわかるだろうと思っていましたが、報告する1級建築士が「増築部分がないもの」として虚偽申請していました。
前面道路からじゃ、奥の増築部分は見えないし、虚偽報告されてたんじゃ、行政がわからないのも無理ありません。
この1級建築士は、今でもマンション相談窓口団体の顧問をやっているからご用心です。
管理組合では増築部分があることで2階からの避難通路が確保できないので、方法や費用負担についてオーナーと話し合いを進めています。
更に増築部分について管理費を上乗せ徴収しようかと言う議論もなされていますが、そうすると管理組合が違法な増築部分を承認するって事にもなりかねず頭を抱えています。
何よりオーナーが善意の第3者になるので厄介です。
これも小倉北区のマンションです。確認申請時にはAとBの2筆の土地をマンション敷地としていました。
役所の竣工検査が終わった時点で、B土地を第3者に売却してしまいました。その後それぞれ住戸購入者へ引き渡しされましたが、引き渡しされた時点で既に建蔽率・容積率違反建物です。
分譲業者は初めからそのつもりでマンションを販売していたのです。
可哀そうに購入者は、敷地内駐車場と思っていた区画が第3者の敷地となったことで敷地外駐車場となり、また使用料も管理組合に充当されないこととなりました。
最近になって大規模修繕工事を実施することになりましたが、つぶやき主の「それよりも敷地外駐車場となっている土地を買い戻すべき」とのアドバイスもむなしく大規模修繕工事を実施しちゃいました。
最後は門司港の複合型マンションです。1階の店舗が敷地の余っている部分に目をつけ、勝手に増築し店舗面積を増やしてしまいました。
その上に住む区分所有者は、「店舗が増築しているけど、誰かが許可したんだろうな」って皆が皆勝手に思い込んでしまっていたようです。
後日店舗が勝手に増築したってことが分かり、訴訟になってしまいました。
これは当然店舗側の全面敗訴。その後現在に至るまでペナルティを払い続けています。
分譲マンションはコンクリート製で増築なんてあり得ない、って思っていたら大間違いですよ。
どうです、ゾッとしませんでした。自分のマンションがもしそうだったら、そして理事長となってこの問題を解決しなきゃと思ったらゾッとするでしょう。