マンション管理士の独り言・・・1239

マンション管理士の独り言・・・1239

「垂直・平行そして勾配」

マンションと言う大きな建物を建設するのに大事なこと、言い換えればキチンとなっていないといけないことの一つに垂直・平行があります。

垂直・平行がキチンと出ていないと(水平だし、という)建物が歪んでいたり、床に置いたビー玉が転がったりします。

内覧会時に部屋内の壁が斜めになっていたり、真っすぐ立っていなかったりを目にすることがあったりします。

垂直・平行とともに重要なものとして勾配があります。水勾配です。当たり前ですが水は高いところから低いところへ流れていきます。

雨水や雑排水処理にはこの当たり前の適正な勾配が必要です。

バルコニーではサッシュから手摺に向かって高い→低いと勾配が確保されていなければなりません。

ところが昨今、奥行きの広いタイプ(ワイドバルコニー)増えてきて緩い勾配のバルコニーも見かけるようになりました。

また、サッシュから手摺際の排水溝までの勾配は確保されているのですが、途中で凹凸があり、窪んだところに水が溜まってしまうというバルコニーもよく見かけます。

エアコンドレン水が流れず、はみ出してしまって世界地図の様にバルコニー床面や玄関側クッションフロアーが汚れている住戸は沢山あります。

そのはみ出したドレン水が階下バルコニーへ漏水となって悪さするという現象が現れたりします。

また、手摺際の排水溝についても、一番低くなっていなければならない排水ドレンの周りが高くなっていてドレンの周りに緑の苔がビッシリなんて光景も目にします。

室内側について雑排水の処理は、床材とコンクリートの間(置床の場合)の12㎝程度の空間を利用して勾配を確保しているはずですが、床下なので確認不可能です。

確かな勾配は屋上防水にも欠かせません。

屋上の長手方向の中心を水上にしてパラペット方向に水を流す勾配とします。最終的にはパラペット際のドレンまで水を到達させ竪管へと流します。

屋上は直接雨が当たる部分ですからアスファルトやシートなどの防水仕様としていますが、プール状態にならないよう適正な勾配でドレンまで雨水を流さなければなりません。

ところどころに凹凸があってもいけません。水が溜まってしまい苔が生えるくらいならいいのですが、間違って雑草が生えちゃうと迂闊に引き抜けません。

防水層を破り漏水の可能性があるからです。

また、駐車場についても同様です。アスファルト床面はコンクリートと異なり透水せず、水を弾きますので、水溜りが出来ちゃいます。

その水溜りを後からアスファルトで埋めると、今度は別の場所に水溜りが出来ちゃう、ってことになります。

更に適切な個所にグレーチングや雨水桝の設置も必要です。

グレーチングや雨水桝は一番水下になるように施工しなければならないのは勿論、その周りが盛り上がっていてもいけません。

施工時にしっかりした水勾配を確保することが大事です。