マンション管理士の独り言・・・1260

マンション管理士の独り言・・・1260

「新築マンションの買い方、将来トラブルに発展するマンション」

将来トラブルに発展するマンションその3です。段々と細かいことになりますが、管理に携わる者からすれば”こんなの造らないでよ”って設備です。

隣の住戸バルコニーとの間に隔て板が設置されています。自分宅が火事になった時に隣の住戸へ逃げれるように、簡単に蹴破れる隔て板がバルコニーに設置されています。

この隔て板の下部の排水溝が隣の住戸とつながっているとトラブルが生じます。

隣家のゴミが自分宅のバルコニー排水ドレンに流れてきちゃいます。

”自分宅ではワンちゃんを飼っていないのに、隣のワンちゃんの抜け毛が自分宅バルコニー排水ドレンに流れてきて定期的に掃除しないといけない”となっちゃいます。

隣人は、「そんなこととは露知らず」状態ですが、知らないうちに隣人同士仲が悪くなってしまいます。

隣家のゴミが流れて来ないように、蓋で閉じてしまってドレンのないほうのバルコニー排水が溢れてしまう、ってことにも発展します。

些細なことですが、根深い不信感につながりますので、このような仕様には注意が必要です。

洗濯バンも嵩高のものでなければ困ります。管理組合では2年に1度、若しくは3年に1度の頻度で排水管高圧洗浄を実施します。

流し台、お風呂、洗面化粧台、さらに洗濯バンです。

最近は節水型のドラム式洗濯機をご利用のご家庭が増えてきていますが、ドラム式洗濯機の場合、バンの嵩が低いと高圧洗浄のノズルが入らないため高圧洗浄が出来ません。

普通の洗濯機ならばそれほど自重がないので作業員は洗濯機を移動して高圧洗浄を行ってくれます。

しかしドラム式洗濯機は自重があるため、”動かしてもしクロスでも傷つけたら大変”ってことで鼻から高圧洗浄を行ってくれません。

ドラム式洗濯機でも嵩高洗濯バンならば移動させずにノズルを差し込めますので高圧洗浄が行えます。

何年も排水管高圧洗浄を実施していない、或いは実施できない住戸の取り扱いについて管理組合は苦慮します。

設置費用はそれほど変わらないでしょう。設計士さんには嵩高洗濯バンをお願いしたいものです。

床暖房もお勧めしません。輻射熱でホコリもたたず、優れモノの暖房器具ってことはわかっていますが、マンションにはご遠慮いただきたい設備です。

もし下階から”上階からの騒音がウルサイ”って苦情が入った時に管理実務者は、上階の方へリビングにアクセントラグのような厚手の敷物をして下さい、ってお願いするのですが、床暖房を設置しているお宅には中々受け入れてもらえません。

”ラグなんて敷いたら床暖房意味ないじゃん”と言われちゃいます。

分からなくはないですが、”単に気を付けます”だけで、物理的には何の対応もしないってことになれば、下階の人は納得しません。

やがてトラブルへと発展します。

壁1枚、床1枚でお隣さんというのがマンションです。「仲の良い隣人はいない」という格言もあります。そうならないような設備仕様としてもらいたいものです。

住んでからのお世話をする管理関係者曰く、「後が大変」です。