マンション管理士の独り言・・・1313
「エレベーターアレコレ」
エレベーターのメンテナンス契約には2種類あります。フルメンテナンス契約とPOG契約です。
POG契約とは、P(パーツ)O(オイル)G(グリース)のみを行ってそれ以外の部品代は別途代金が必要ですよ、というものです。
別途費用が掛かる代表的なものに緊急時に閉じ込め事故防止のために設置されている非常用バッテリーがあります。
バッテリーですから使っていなくても5年ごとを目安に交換しなくてはならず1回あたり30万円くらいかかっちゃいます。
新築マンションでも、以前はフルメンテナンスばっかりでしたが、最近は当初からPOG契約の物件も見られるようになりました。
費用は当然ながらフルメンテナンスの方が高く、エレベーターの仕様にもよりますが1基あたり約6~7万円でしょうか。これに対しPOG契約の方は、4万円程度でしょうか。
メンテナンスの契約先も大きく2つに分かれます。メーカー系か独立系かです。
一例を挙げれば、日立製のエレベーターならば日立ビルメンテナンスがメンテナンスを行うというのがメーカー系で、日立製ながらSECエレベーターがメンテナンスを行うというのが独立系メンテです。
最近では独立系メンテ会社も増えてきました。
代表的なのがSECエレベーターでしたが、このほか西部エレベーターサービス、西日本エレベーター、ジャパンエレベーター、ジェイイー・エレベーターコミュニケーション・・・などです。
北九州市役所には4基エレベーターがありますが、ここは西部エレベーターがメンテを行っています。
メーカー系メンテ会社に比べ独立系メンテ会社の方が費用は安くて済みます。
メーカー系メンテ社の8割くらいでしょうか。
「安くて済むなら独立系メンテ社がいい」誰もがと思っちゃいますが、独立系メンテ社はメーカー系に比べ部品納期が遅れる傾向にあります。
どうしてもメーカーは部品供給を自社系メンテ会社へ優先するので、独立系に対しては後回しにされてしまい、その結果納期が遅れる傾向にあります。
三菱エレベーターなどは、独立系メンテ社へのあからさまな遅納があったとして公正取引委員会から2度も独占禁止法違反~罰金を食らっていますが、そんなのどこ吹く風のようです。
マンションでは独立系メンテ社へ変更していい物件と、変更をお勧めしない物件とがあります。
エレベーターが1基しかないマンションや、複数基あるがこの部屋へ行くには1番基でないと行けない仕様になっているマンションには独立系への変更はお勧めできません。
何かのアクシデントでエレベーターが止まった時に、代替えのエレベーターがないのですから部品納入が遅れれば、それだけエレベーターが動かない時間が増え生活できなくなる懸念があります。
これに対し複数基あって1基が止まってももう1基で目的の部屋へ行けるって仕様になっているマンションでは、独立系に変更するのもアリです。
ただし止まっているエレベーターが早く回復してくれないと、1基での稼働に負荷がかかりすぎて故障の原因にもなりかねません。
北九州市役所の場合は、4基あって1基故障しても他の3基で代替えできるので独立系メンテ社への変更でもOKです。
最初からPOG契約でメーカー系がメンテを行っている場合には、これを独立系に変更してもそれ程メンテ料が安くならないので部品納期を優先してメーカー系のままとしているところがほとんどかな、って感じです。