マンション管理士の独り言・・・1320

マンション管理士の独り言・・・1320

「売買契約と請負契約」

同じく住居を取得する契約方法にも大きく2種類あります。

一つが注文住宅を建てる際に工務店などと締結する工事請負契約です。もう一つは建売住宅やマンションを購入する際に締結する売買契約です。

工事請負契約は、発注者(注文主=お施主様)が「この規模の建物を、この間取り・仕様で、○○万円で建ててね」って請負者(工事業者)へ発注するという形態です。

請負契約の場合は、それぞれで建築する建物や仕様が異なりますので、内容も千差万別です。

また、代金の支払いに関しては工事が完了して引き渡し時というのが原則です。

しかし、何千万円もの工事代金を全部最後支払いじゃ、請負者があまりに可愛そう過ぎます。そこで契約時と着工時、竣工時などに分けて支払うのが一般的です。

マンションの場合、売主さんがマンション建築を施工ゼネコンさんへ発注する場合には、この請負契約を結びます。

請負契約では、引き渡しを受けるまでの間ならば、請負者(工事業者)がそれまで行った仕事について発生した損金を補償することにより注文者はいつでも契約を解除することが出来ます。

これに対して建売住宅やマンション購入の場合は、売買契約を締結することとなります。

売主は不動産屋さんで買主がマンション購入者です。

そのマンションを建てたのは施工ゼネコンさんですが、マンション購入者と施工ゼネコンさんとの間に直接的には法律関係はありません。

分譲マンションの売買契約は、正式には「土地付区分建物売買契約」を締結することとなります。

マンション売買契約の場合は、売主さんが約款を含めて契約書を用意していますから、住戸面積と販売価格と支払方法が異なるくらいで、内容はほぼ一緒です。

売買契約では、代金の5~10%程度の手付金を支払います。

この手付金は、相手方が契約の履行に着手するまでの間は、買主は手付金を放棄することにより、売主は手付金を倍返しすることにより解約することが出来ます。

マンションの場合、売主はマンション建築に関しては施主として施工ゼネコンさんへ工事を発注します。この場合の契約形態は、工事請負契約です。

一方マンションを購入者へ売る場合は、売主となり購入者を買主として売買契約を締結することとなります。

開発不動産屋さんは、マンション建築に関し工事請負契約の発注者の顔を持ち、方や購入者への売買契約に関し、売主としての顔を持つということになります。

発注者としての顔があまり宜しくない場合は、売主としての責任が果たせなくなる場合があります。実務的には、施工ゼネコンさんの請負代金が少ないため、そのとばっちりが購入者のアフターサービスに影響するなんてことがあります。

施工ゼネコンさんは同じでアフター担当者も一緒なのに、特定の売主さんのマンションだけ何故かレスポンスが遅かったり、補修するにはするのですが適当だったりする例が散見されます。

酷い事例になると、「もう御社の仕事はしない」と絶縁された売主さんもあり、アフターサービス期間がまだ残っているのに、誰がアフターの面倒見てくれるの?ってマンションもあります。

施工ゼネコンさんと売主さんとの関係が悪くなっちゃうと、購入者に不利益がもたらされることがあります。購入者は、不安定な立場です。

売主さんにも施工ゼネコンさんにも、〝顔が利く“というのはつぶやき主・・・これは言い過ぎか。