マンション管理士の独り言・・・1329

マンション管理士の独り言・・・1329

「駐車場引継ぎ」

最近新築のマンションでは、専有部分を譲渡・貸与した場合、それまで区分所有者が使っていた駐車区画を譲受人・賃借人が引き継げるってしているところが増えてきました。

平置きや縦列、機械式などが混在していても引継ぎ出来るってなっています。

“遅く買ったので機械式しか空いてなかった、将来は平置きに移動したい”って思っている人にすれば、移動のチャンスが無くなることになっちゃいます。

また住戸売買の時に、平置きでなく機械式となれば住戸が売りにくくなり、資産価値の低減にもつながります。

不公平感いっぱいですが、分譲当初からそのように決められている規約ならば、それはそれで有効です。“それを分かって購入したんでしょ”ってなります。

この方法は非常にシンプルで間違いようがありません。

一方、売買などの場合は一旦管理組合に返却するとなっていると、管理会社さんはそこから募集~抽選などの手続きを経てその駐車区画の使用車を決定する、なんてしなければなりませんから、面倒な手間が省け大助かりです。

しかしこの方法でもトラブルが発生することがあります。

「大分の実家に帰ることになったから、マンションを手放そう。早めに引っ越しして住戸をもぬけの殻にして売り出そう。その方が実物をいつでも見学できるから成約も早いだろう」と売主さんは考えます。

そして「もうこのマンションには済まなくなったから駐車場使用契約も解除しよう。使用料ももったいないし。」となります。

契約解除となれば管理組合には当該駐車区画の使用料は入らなくなっちゃいます。

この住戸がすぐに売れれば、駐車場使用料も次の買主さんから入ってきますが、長い期間売れないとそれだけ駐車場収入が入らなくなります。

そのうちに、機械式駐車場を使用している人から、“使われていない平置き区画があるなら移動させてよ”って声が上がります。

さらに、“売主さんは駐車場使用契約を解除したんだろ。それなのに新所有者に引継ぎできるってオカシイじゃん”です。“、駐車場契約を解除すると駐車区画を引継ぎ出来ない。と使用細則を変更しなきゃ”とのご意見が出されます。

住戸を貸与する場合も同じです。いつまでも賃借人が決まらないと、上述のようなことがおこります。

実際に「住戸を譲渡・貸与する場合において、それまで当該住戸の所有者が使用していた駐車区画は譲受人・賃借人が使用することができる。しかし、当該住戸の所有者が当該駐車区画使用契約を解除した場合は、この限りではない。この場合は一旦管理組合へ返却し、管理組合は募集~抽選を行い新使用者を決定する」としている管理組合さんもあります。

また、単純に「住戸譲渡・貸与の場合において、当該住戸所有者は、新しい譲受人・賃借人が決まるまでの間は、駐車場使用契約を解除できない」としている管理組合さんもあります。

駐車場継承問題は深~い沼が待っています。