マンション管理士の独り言・・・1340

マンション管理士の独り言・・・1340

「管理組合はすごい」

新規に顧問としてお世話することになった管理組合さんで、組合員対象に「快適なマンションライフ」と称してマンション生活のイ・ロ・ハ説明会を実施しています。

参加される方は、“今更学ぶべきものはない、そんなの知ってるよ”ってスタンスで臨まれますが、知らなかったことの方が多いようで、「目からウロコ」状態で熱心にお聞きいただいています。

知らないことが多くても何ら不自由することなく生活できるのがマンションの良いところでもありますが、怖いところでもあります。

その説明会に際し、再度区分所有法や標準管理規約を見直してみました。

改めて思うのは、“マンション管理組合はすごい”ってことです。

何がすごいかっていうと、先ずはマンション組合員の共通の利益に反する行為を行った人に対して、その行為の中止を求めることが出来るのは勿論ですが、どうしても迷惑行為を止めない人に対しては、なんとその迷惑行為者の住戸(専有部分)の競売を裁判所に申し立てることさえ出来ちゃえます。

個人の所有物を、その個人の意思に反して売却することを裁判所に申し立てることができちゃうのです。個人の家や財産を所有者の意図に反して売り払うことができるってことです。民法の“所有権絶対の原則”の大きな例外です。

お国でさえ、例えば空港新規開設の際に、反対住民の所有する土地をなかなか強制執行できないというのがこの国の法体系です。

それをマンション管理組合は、総会の決議(特別決議 4分の3)で出来ちゃうのです。

管理費や修繕積立金を滞納し、その金額も多額に及び、さらに将来も滞納が続くことが予想される組合員に対して管理組合が競売の申し立てを行い、それが認められた裁判例さえあります。

このほか、賃借人がマンションルールを守らず夜間頻繁に大声を発するなどその他マンション住民の共通の利益に反する行為(要するに迷惑行為)をするときは、その住戸のオーナー(区分所有者)に対し、賃貸借契約の解除を要請することさえ出来ちゃいます。

続いては、包括承継人に対し管理費などの支払いを請求できるってことです。

そのマンションの区分所有者である方が亡くなった場合、相続人であるお子さんへ管理費の支払いを請求できます。

相続人のお子さんは他県に住んでいて、亡父がマンションを購入することに反対だったとしても請求出来ちゃいます。

相続人のお子さんは、マンション住民でもなく組合員でもないのに、そのマンションの管理規約の規定に縛られちゃいます。

ピアノを演奏する時間だって夜間は禁止されていますし、ペットだって飼っちゃダメって決められていたら、飼えません。

ピアノを夜間演奏したりペットを飼うことは何の法律にも抵触せず、公序良俗に反する行為でもありません。

でも管理組合がダメって言ったらダメなのです。

組合員個人の権利よりもマンションに住む全員の権利(共通の利益)の方を優先している意図が読み取れます。裁判所も同じベクトルのようです。